女忍、邁進する

「・・・なら、俺から質問していいか?」
「ん~、いいよ~。何を話すか迷ってた所だし・・・それで何を聞きたいのかな?」
そこにガイが静かで真剣に自分が聞きたいと切り出し、くのいちもすぐに頷き先を促す。
「・・・丞相は謡将のやろうとしていることを知っていたんだよな?リグレットにディストまで引き込んでいた所を考えると・・・となると、いつから謡将は行動を起こしていたのかも掴んでいるのか?」
「ん~・・・(謡将にいつから裏切られたのかとでも考えてるのかな?でも残念・・・)・・・その辺りは神託の盾でいつからそんな考えを持ち出したとかじゃなく、入った時にはもうこうしようって目的があったからだと思うよ?そうでもないとリグレット達を始めとして、思いつきで行動して集めれるような規模じゃないからね~。謡将の団体の人数って」
「そうなのか・・・」
その質問の内容はヴァンの行動がいつからかと聞く物で、内心くのいちはその理由に察しはついた上で思いつきではないと根拠と共に断言してガイの表情を暗く落とさせる。
「それとも何かな?もしかしてガイもリグレット達と別で謡将に関して、何かあるとか?」
「っ、い、いや・・・そうじゃないが・・・」
「・・・」
そのまますかさずヴァンと何かまた繋がりがあるかと聞くくのいちにガイはしどろもどろになりながらも否定を返すが、ジェイドの視線が鋭く細まっていたことにくのいち以外気付けた者はいない。
「・・・ま、確かに言えるのは謡将はキムラスカやマルクトだけじゃなくダアトまで騙して行動してるって事かな。それも謡将の思うように事が進んだなら、事実が露見した時には全て取り返しがつかない状況になってる・・・ってオマケ付きのね」
「っ・・・そんなことを、謡将はやろうとしていたのか・・・」
「やろうとしていた、じゃねぇ・・・今もやろうとしているんだよ」
「アッシュ・・・」
そこについては追求せずにヴァンの行動の危険性を語るくのいちにガイは息を呑むが、アッシュの忌々しげな声に視線が集中する。
「・・・おい、次は俺だ。リグレットにディストを丞相が引き込んでいたって事は、最初から丞相もだがお前も事情を知ってやがったということか・・・?」
「その質問に関しては肯定を返すけど・・・何か言いたいの、アッシュ?私達に対して」
「・・・あぁ。ガイじゃねぇが、てめぇらもてめぇらでいつからどう行動してやがった・・・答えろ・・・!」
アッシュはそのままくのいちに挑みかかるかのようギラギラさせた視線で声を向け、その態度に先があると察したくのいちに一層表情を強張らせて強い声を向ける。答えなければ荒事も辞さないとばかりに。
「・・・その質問に関しては、十数年前に私は旦那様の事を知って接触した上でその考えに同調して結婚って形を取って一緒に動くようになったけど・・・もうその時には旦那様は地道に活動してた時だったしね。ダアトの人間として表裏を探りつつ動く形で」
「・・・と言うことは、ヴァンの事は全部丸々知ってやがると言うことか・・・!」
「・・・どうしてそんなに殺気を向けてきてるのかな~?あっしらは別にアッシュの気分を害するような行動を取った覚えはないんだけどな~」
「・・・確かにそういった行動は取られてはいねぇ。が、俺が気に食わねぇのはそれを知っててリグレット達共々知らねぇ顔をしてやがった事だ・・・!」
「・・・そういうことですか・・・」
くのいちはその問いに答えるのだが全く引く気がないのが何故と更に問うと、知ってて知らない顔が気に食わなかったと言ったアッシュの怒りにディストがタメ息を吐きそうな声を漏らす。大したことじゃないと言った気持ちが滲む形で。










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