軍師、改善を行う
「お気持ちは察しますが、その辺りの自重は忘れないでください。可能性は低いとは言え預言保守派の人物達に謡将の兵が捕らえられたと知られたら、どうなるかわかりませんからね。最悪の場合としてはユリアシティにまで情報が行き、即刻皆さんの身柄の拘束に取り掛かりかねません」
「っ・・・それは、避けたいですね・・・」
「はい。もしそうなればダアトは預言保守派の手により改革派と呼ばれる陣営に属する者まで疑わしきは罰せよとばかりに粛清し、預言を守らない者の末路はこうなる・・・と苛烈な仕打ちを内外共に合わせて見せつけに入る可能性も否定出来ません。これから先、預言達成の邪魔をする者が現れたなら同じように処分をすると我々のような規模の反乱を起こさせまいとして」
「・・・そうなれば、いよいよもってのダアト・・・いえ、世界の終わりというわけですか・・・」
「えぇ。そうなれば預言保守派にとっても逃げ場が無くなると言うことと同義にもなりますからね。掲げた大義が過ちか否か・・・それを考えることさえ恐ろしい事になり、ただ盲目にそれらが正しいと信じることしか出来なくなるのですから」
それで再度気持ちを引き締めるように言った後に大規模な粛清が起きる可能性を示唆すれば、トリトハイムの恐々とした世界の危機を感じる声に孔明も預言保守派自体も危ういと返す。
・・・預言に従うことこそが正義、そう思うこと自体は個人の自由ではある。だがそれらが数を伴って束となり、自分達と同じでなければならないと暴力を振るうようになるのは大きな問題と言える。それが公然の物、更に言うならその行為が正しい物だと世界基準で見られていると言うのなら尚更だ。
ただその行為に関してもし取り返しのつかない過ちが起きたなら、根本から信じるものが誤った物であると明らかになった場合・・・それを止めることは決して簡単な事ではない。むしろ難解を極めると言っていいだろう。何せ今まで信じてきた物が全て根底から間違っていたのだから、そこからどう考えを立て直すかなどまず間違いなく容易にはいかない。
だからこそそうなった場合、上の立場にいて比較的安全な位置にいる者達はこういった安易な流れを見出だすだろう・・・『こんな状況になったのはユリアが我らに試練を課したからだ、これを乗り越え預言を遵守したなら繁栄はきっと訪れる』・・・と。そしてそのまま行こうとするだろうが、下の立場の人間からすればたまった物ではない事だ。
何せ過ちが修正されないばかりか、むしろ強化されるのだ。搾取及び被害を受けるのは下の人間ばかりで、上の人間はただ預言が正しいと信じる以外にない状況ではいずれ遅くない内に破綻を来すのは確実になる・・・下の方からの反発を受ける形でだ。そうなればいかにダアトと言えど、いやダアトだからこそ終わりを告げることになるだろう・・・預言があるからダアトに従うし言うことを聞くと言った、今までの常識がもう意味を為さなくなるために。
「そこまで来てしまえば最早大詠師が何を言おうとも、そしてキムラスカにマルクトがちゃんと健在しているかどうかなど関係無くなりますからね。むしろ健在していたなら両国どちらかかもしくはどちらともに攻撃される可能性すら有り得ます。大義を持ってダアトを攻めるという体面を見せることで民意を引き付ける効果を期待する形もありますが、半ば報復の意味も兼ねた行動を取る形でです」
「・・・特にマルクトはダアトを目の敵にするでしょうね・・・アクゼリュスから戦争の件と色々ありますから・・・」
・・・そんなダアトの決して明るくない未来を述べる孔明に、トリトハイムも予感する。マルクトからの恨みは一際強いものになるだろうと。
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「っ・・・それは、避けたいですね・・・」
「はい。もしそうなればダアトは預言保守派の手により改革派と呼ばれる陣営に属する者まで疑わしきは罰せよとばかりに粛清し、預言を守らない者の末路はこうなる・・・と苛烈な仕打ちを内外共に合わせて見せつけに入る可能性も否定出来ません。これから先、預言達成の邪魔をする者が現れたなら同じように処分をすると我々のような規模の反乱を起こさせまいとして」
「・・・そうなれば、いよいよもってのダアト・・・いえ、世界の終わりというわけですか・・・」
「えぇ。そうなれば預言保守派にとっても逃げ場が無くなると言うことと同義にもなりますからね。掲げた大義が過ちか否か・・・それを考えることさえ恐ろしい事になり、ただ盲目にそれらが正しいと信じることしか出来なくなるのですから」
それで再度気持ちを引き締めるように言った後に大規模な粛清が起きる可能性を示唆すれば、トリトハイムの恐々とした世界の危機を感じる声に孔明も預言保守派自体も危ういと返す。
・・・預言に従うことこそが正義、そう思うこと自体は個人の自由ではある。だがそれらが数を伴って束となり、自分達と同じでなければならないと暴力を振るうようになるのは大きな問題と言える。それが公然の物、更に言うならその行為が正しい物だと世界基準で見られていると言うのなら尚更だ。
ただその行為に関してもし取り返しのつかない過ちが起きたなら、根本から信じるものが誤った物であると明らかになった場合・・・それを止めることは決して簡単な事ではない。むしろ難解を極めると言っていいだろう。何せ今まで信じてきた物が全て根底から間違っていたのだから、そこからどう考えを立て直すかなどまず間違いなく容易にはいかない。
だからこそそうなった場合、上の立場にいて比較的安全な位置にいる者達はこういった安易な流れを見出だすだろう・・・『こんな状況になったのはユリアが我らに試練を課したからだ、これを乗り越え預言を遵守したなら繁栄はきっと訪れる』・・・と。そしてそのまま行こうとするだろうが、下の立場の人間からすればたまった物ではない事だ。
何せ過ちが修正されないばかりか、むしろ強化されるのだ。搾取及び被害を受けるのは下の人間ばかりで、上の人間はただ預言が正しいと信じる以外にない状況ではいずれ遅くない内に破綻を来すのは確実になる・・・下の方からの反発を受ける形でだ。そうなればいかにダアトと言えど、いやダアトだからこそ終わりを告げることになるだろう・・・預言があるからダアトに従うし言うことを聞くと言った、今までの常識がもう意味を為さなくなるために。
「そこまで来てしまえば最早大詠師が何を言おうとも、そしてキムラスカにマルクトがちゃんと健在しているかどうかなど関係無くなりますからね。むしろ健在していたなら両国どちらかかもしくはどちらともに攻撃される可能性すら有り得ます。大義を持ってダアトを攻めるという体面を見せることで民意を引き付ける効果を期待する形もありますが、半ば報復の意味も兼ねた行動を取る形でです」
「・・・特にマルクトはダアトを目の敵にするでしょうね・・・アクゼリュスから戦争の件と色々ありますから・・・」
・・・そんなダアトの決して明るくない未来を述べる孔明に、トリトハイムも予感する。マルクトからの恨みは一際強いものになるだろうと。
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