軍師、改善を行う

・・・そこから孔明達はヴァン達の従える兵を捕らえる為、内密に信頼の出来る兵を集めた。



「・・・これで準備が出来ました」
「・・・あの、丞相・・・一つよろしいですか?」
「何でしょうか、トリトハイム殿?」
「丞相の手際に準備がよいことは今までから十分に承知はしていますが・・・兵をこのようなよう、それも同じ神託の盾を相手にするというのにそれを理解させてこう集めることが出来るとは・・・どれだけ下準備をしていたのですか、貴方は・・・?」
・・・それでダアトの神託の盾の修練場に集まった兵達を前にし、孔明が羽扇を片手に頷くのだがトリトハイムは半ば戦慄気味と言ったようにその用意の良さに声を漏らす。あまりにも先を見通しすぎだといったよう、兵がこうも沢山孔明の指示に従うよう動いている光景に。
「・・・下準備、という言い方はあまり好きではありません。そもそも私が行動してきたのはダアトの矛盾を見た上、それでリグレット達にその他の人々を助けてきてこうやって兵達が私の呼び掛けに応えてくれたのもその中の一端です」
「え・・・どういうこと、ですか?」
「目の前の彼らもまた大小問わず、預言にダアトの在り方に疑問を抱いていた者達だということです。放っておけばもしかしたら謡将の考えに惹かれ、あちらに所属していたのではないか・・・そういった迷いを抱えていた人達なのです」
「なっ・・・!?」
だが孔明が心外だと共に返した言葉にトリトハイムはまた絶句した・・・目の前の神託の盾もまた、ヴァン達の方に行きかねなかった可能性のある人物達なのだと聞いて。
「元々彼らは神託の盾の中に友人や家族に恋人などを持っていた方々ですが、それらのことごとくが預言により詠まれた死を隠された上で死地に向かわされた者達で大半が構成されています。その彼らと話をしていった上で彼らはいざという時に私に協力していただくと約束していただき、謡将に与することも神託の盾を辞めることもないままに動いていただいていたのです。この時の為に」
「そ、そんな・・・で、では残りの者は何だと言うのですか・・・?」
「謡将及び大詠師の行動に関し、日々を過ごすにつれて疑問を持っていった方々です・・・同じローレライ教団に所属し、同じ神託の盾に所属している以上大詠師に謡将の姿を見ることはそう珍しい事ではありません。そしてその粗を見ることも」
「粗、ですか?」
「大詠師は表向きは怒りを見せるような方ではなく厳正な人物だというように振る舞っているように見せていますが、度々感情のまま場所を考えずに怒りを見せている姿はトリトハイム殿もご存知でしょう・・・それが大詠師の粗ですが、謡将の粗は一見するだけならそう見えやすい粗ではありません。ですが謡将傘下の神託の盾が特に任務もないのにダアトを離れることが多々あったとの事です」
「それが粗、だと言うのですか・・・?」
「その程度なら粗ではないし極秘任務の可能性もあるとトリトハイム殿は考えているかもしれませんが、謡将傘下の兵は表の任務でない限りは一定の人数が交代交代て入れ替わり立ち替わりとどこか知らぬ場所によく消えていくと気付いた者がチラホラといました。そしてその謡将傘下の兵が行っていた場所はダアトに程近い謂わば秘密の基地とも呼べる場所で、今から行くところでもあるのです」
「なっ、なんと・・・!?」
その人物達とは話をした上で残りの者達は粗を見たからとヴァン達の行動についてを語る孔明に、トリトハイムはまた驚愕する。そんな形で神託の盾の中にも事実を知ろうとしていた者がいたことに。












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