軍師、改善を行う

「トリトハイム殿の懸念も理解出来ますが、何をするにも代償は当然必要になります。その上でマルクトの方々の協力を得るためには、今までの関係の改善は必要不可欠です・・・そもそも大詠師は預言の事があるからでしょうが、マルクトとの関係についてをほとんど放置していました。下の者、もしくは導師に任せる形でです」
「あぁ、そう言えば・・・大詠師がキムラスカに向かったという事は何度もあっても、マルクトに直々に向かったことは一度もありませんでしたね」
「えぇ。その為ダアトがマルクトとキムラスカの両者のどちらに比重が傾いているかと言えば、キムラスカの方としか言えません。まぁそれも大詠師によるものが大きいですが、その関係を変えるにはやはり代償は必要です。むしろこちらから変えたいと願い動かねば、全てが終わって以降にマルクトと良き関係を結べませんからね。これはいいきっかけでもあります。我々への印象を変えるという意味でも」
「・・・確かに、そうですね・・・マルクトとの関係を一新して良きものとするには、これくらいせねばなりませんか・・・」
孔明はそんな不安を打ち消すように今までのマルクトとの関係とそれらを改善するべきと述べていき、トリトハイムも重い様子で納得する。
「私はそう思っていますが・・・どちらにせよもうマルクトには手紙は出してありますし、あの中身は易々と無視出来る物ではありません。それを踏まえてマルクトも動くでしょうが、問題はここからです」
「・・・キムラスカ及びそちらにいる大詠師、そして裏で独自に動く謡将について・・・ですね」
「えぇ、そうです」
孔明はそこでマルクトはともかくとすると発言したことにトリトハイムは真剣な面持ちで警戒すべき相手の事を口にし、満足いく答えが返ってきたことに頷き返す。
「ユリアシティの方々の警戒は基本的に必要ありませんからね・・・あちらから誰かが来るとなれば直接こちらに来るか情報だけかはさておきとしても、確実に我々に報せが入ります。その方々が来たなら何もないように振る舞えば、後は状況が進んできた時に話をしに行けばそれで事足ります」
「その分今上げた方々についての対応が重要になるとのことですが・・・本当にキムラスカに大詠師は謡将がアクゼリュスを消滅させたと確定するまでは動かないのですか?」
「それは間違いありません。キムラスカはまだカイツールの兵辺りに状況を探らせるようにと命令を出すくらいでしょうが、消滅すると思っている場所に自ら兵を大量に飛び込ませるような行為など取る筈がありません。あちらの予定ではその後に戦争を予定しているのですからね・・・ですので多少時間が遅れるくらいでしたら、謡将に頼る以外にあちらが取れる手段はありません」
「そしてその謡将も丞相の奥方達により邪魔をされ、アクゼリュスを滅ぼすことがかなわない状況に陥ると見ているという事ですが・・・謡将自体をその時に奥方達が止めるという選択肢は無かったのですか?話を聞くと、初めから丞相はそこで謡将を捕らえにかかるつもりがないとの事ですが・・・」
「えぇ、様々な点を考慮した上での選択です」
それでユリアシティの事は別段警戒しなくていいと言いつつもキムラスカにモースまでもをまだ実質的に警戒は必要ないと言う孔明だが、トリトハイムから何故モースを捕らえるよう指示してなかったのかと聞かれて考えがあっての事と返す。













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