・・・詠師陣に自身の考えについて話をした孔明。それから時間は過ぎ、翌日に移る。









「おはようございます、丞相」
「おはようございます、詠師・・・わざわざ来られずとも、私の方からそちらに伺ったのですが・・・」
「いえ・・・表向きの立場は我々の方が上ではありますが、あのような話を聞いてしまっては我々が貴方に指示を出せるような立場にはないと感じました。ですので我々はこの件について丞相に全権を委託した上で、丞相の配下として動きます」
「・・・よろしいのですか？そのような事を申し上げて・・・」
「・・・本来なら望ましい事ではないというのは重々承知しています。ですが丞相から話をお聞きし、今まで何も知ろうとしなかった我々が上の立場で動いたとしてもまともな結果にはならないとは思います。ですから我々は貴方の下についた方がいいと判断したのです・・・今後の為にも」
「・・・そう判断していただいたこと、礼を言わせていただきます。ただそう言っていただけたからには、私も全霊を持って行動させていただくことを約束します」
「丞相にそう言っていただけるのであれば、我々も全霊を持って丞相をサポートさせていただきます」
「ありがとうございます、トリトハイム殿」
・・・自身の私室にて、トリトハイムの来訪を歓迎する孔明。
だが自分から向かうべきだったと言う孔明にトリトハイムは今の自分はそんな立場ではないとへりくだった態度を一貫させて返し、頭を下げて返す。
「・・・頭を上げてください。礼を言っていただけたことはありがたいのですが、早速話を進めましょう。丞相の話では近いうちにアクゼリュスを崩壊させるという謡将を奥方が止められるという話ですが、そちらは大丈夫なのでしょうか？」
「えぇ、そちらについては問題はないでしょう。時間から見てもうそろそろアクゼリュスに着く頃でしょうが、謡将の思うような展開になることはないようにディストには仕込みをしてもらっています。ですのでしばらくはアクゼリュスもその形を留めてはくれるでしょう・・・ただそのディストの調べでは、アクゼリュス自体長く持たないとの事ですが」
「・・・障気が街全体を覆い、人に被害をもたらすほどの濃度でずっと滞留している状態・・・そこまで来ると、目に見えた末期の状態と言うことでしたか・・・」
「えぇ・・・元々のこの大地の成り立ち方を考えれば多少程度でたまに障気が出るくらいならまだしも、そこまでの段階に来たのならもう危険だとの事です。ですのでマルクトには是が非でもこちらに協力していただきたいのです」
「後々の為にも、ですか・・・それで、もうマルクトには手紙は送られたのですか？」
「はい。とは言っても全てを明かしてマルクトに全てを信じていただけるとは思っていませんので、ある程度の中身くらいに留めてはあります。そこから先は妻が話をしてくれる手筈になっていますが、いずれ私自身で話をしに行くことになるでしょう。その時には全てをお話したいと思っています」
「・・・後々の為に、ですか・・・そうすれば、マルクトの我々を見る目は変わるのでしょうね・・・」
トリトハイムはそんな孔明に頭を上げてもらってアクゼリュスについての話からマルクトについての話に移行し、その中身に少々考え込む様子を浮かべる。自分達の立場が今までと変わるその変化を、少なからず恐れていると言った気持ちが見えるよう。











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