軍師、侵略する
「っ・・・な、ならば貴方の事を信用して協力すればそのような事はないのですよね?丞相・・・」
「・・・私はそのようなことをするつもりはありません。ですが私に従ったからと言って、何も辛いことが起こらないかと言うことについては保証は出来ません」
「えっ・・・!?」
それでならとばかりにモースとやり方が違うなら安全でしょうとすがるように聞くトリトハイムだが、安全はともかく辛くならない保証はないと返す孔明にまた不安に表情を揺らす。
「なら何が辛いことになるのかと言えば、これから先に待ち構えるのは先程話したダアトの暗部・・・闇とも言える事情以上の一般に言われるような通説とは全く違う、残酷な事実です。おそらくトリトハイム殿もそれらについて聞けば嘘だと思い、事実を否定したい・・・そういった気持ちになる可能性は相当高く、知らなければよかったと思うことが出てくると思われます」
「そ、それは・・・どうしても避けられない事なのですか・・・!?」
「はい・・・事実に耳を塞ぎ、目を閉じ、考え受け入れる事を拒否する・・・都合のいい事実だけを信じたいと思い、目の前の真実を否定することは簡単です。ただ真実を真実だと受け入れず、虚実を真の物だと信じ続けると言うのであれば私はこれ以上何も言うつもりはありません。例えそれらを話したとて無駄になるのは目に見えていますからね」
「・・・っ!」
そこから先の真実がいかに重く、辛い物になるのか・・・不安を煽るのではなくただ真剣に自身に味方する事の重みについてを話していく孔明に、たまらずトリトハイムは息を呑んでいた。安全ならと流されるように孔明に寄るのは許されない、とばかりの空気になっていることを感じ。
「・・・さて、トリトハイム殿。言うべき事は言わせていただきました・・・今までの話を聞いてどうするか、それをお聞かせ願いたい。私の言葉を信じて預言に教団の残酷な事実についてを更に知っていくか、私の言葉を否定して盲目に大詠師達に付き従うか・・・そのどちらかを」
「っ!・・・それは・・・今この場でお答えしなければならないのでしょうか・・・?」
「多少考える時間を取っていただく分は構いませんが、少なくとも結論はこの場で出してください。事は既に進んでいますし、時間が経てば経つほど事態は更に動いていきます。もしどちらを選ぶにせよ貴方が時間をかけて考えていたなら、どちらに寄った展開になったとしてももう貴方が事態をどうにかしようとしても口を挟めるような状況ではなくなっています」
「っ・・・だから今決めるしかないと言うのですか・・・後々の為に・・・」
「はい、その通りです」
そして選択の時は来たといったように話を進める孔明に何故今かと問うトリトハイムだが、今でなければ後にどうしようもなくなると聞かされ観念したようにうなだれる。
「・・・少し時間を取りますのでどうするかゆっくり考えられてください。トリトハイム殿がどうしたいのかを」
「ま、待ってください・・・せめて一つ聞かせてください・・・丞相は私に味方になってほしいとか、そういった気持ちはないのですか・・・?」
「そういう気持ちが無いとは言えません。ですが今の話を聞いてトリトハイム殿がどのような判断を自身の考えを持って下すのか、その事の方が私にとっては重要ですので」
「っ!・・・私が、自身の判断で・・・」
孔明はそれでゆっくり考えるように勧めるが、何故いっそ味方に引き入れないのかと言ったようなそうしてほしいと言わんばかりの声をトリトハイムは上げる。だが孔明の微笑を浮かべての信頼を滲ませたような返答にトリトハイムは何か粟立ちを感じたように身震いをする。
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「・・・私はそのようなことをするつもりはありません。ですが私に従ったからと言って、何も辛いことが起こらないかと言うことについては保証は出来ません」
「えっ・・・!?」
それでならとばかりにモースとやり方が違うなら安全でしょうとすがるように聞くトリトハイムだが、安全はともかく辛くならない保証はないと返す孔明にまた不安に表情を揺らす。
「なら何が辛いことになるのかと言えば、これから先に待ち構えるのは先程話したダアトの暗部・・・闇とも言える事情以上の一般に言われるような通説とは全く違う、残酷な事実です。おそらくトリトハイム殿もそれらについて聞けば嘘だと思い、事実を否定したい・・・そういった気持ちになる可能性は相当高く、知らなければよかったと思うことが出てくると思われます」
「そ、それは・・・どうしても避けられない事なのですか・・・!?」
「はい・・・事実に耳を塞ぎ、目を閉じ、考え受け入れる事を拒否する・・・都合のいい事実だけを信じたいと思い、目の前の真実を否定することは簡単です。ただ真実を真実だと受け入れず、虚実を真の物だと信じ続けると言うのであれば私はこれ以上何も言うつもりはありません。例えそれらを話したとて無駄になるのは目に見えていますからね」
「・・・っ!」
そこから先の真実がいかに重く、辛い物になるのか・・・不安を煽るのではなくただ真剣に自身に味方する事の重みについてを話していく孔明に、たまらずトリトハイムは息を呑んでいた。安全ならと流されるように孔明に寄るのは許されない、とばかりの空気になっていることを感じ。
「・・・さて、トリトハイム殿。言うべき事は言わせていただきました・・・今までの話を聞いてどうするか、それをお聞かせ願いたい。私の言葉を信じて預言に教団の残酷な事実についてを更に知っていくか、私の言葉を否定して盲目に大詠師達に付き従うか・・・そのどちらかを」
「っ!・・・それは・・・今この場でお答えしなければならないのでしょうか・・・?」
「多少考える時間を取っていただく分は構いませんが、少なくとも結論はこの場で出してください。事は既に進んでいますし、時間が経てば経つほど事態は更に動いていきます。もしどちらを選ぶにせよ貴方が時間をかけて考えていたなら、どちらに寄った展開になったとしてももう貴方が事態をどうにかしようとしても口を挟めるような状況ではなくなっています」
「っ・・・だから今決めるしかないと言うのですか・・・後々の為に・・・」
「はい、その通りです」
そして選択の時は来たといったように話を進める孔明に何故今かと問うトリトハイムだが、今でなければ後にどうしようもなくなると聞かされ観念したようにうなだれる。
「・・・少し時間を取りますのでどうするかゆっくり考えられてください。トリトハイム殿がどうしたいのかを」
「ま、待ってください・・・せめて一つ聞かせてください・・・丞相は私に味方になってほしいとか、そういった気持ちはないのですか・・・?」
「そういう気持ちが無いとは言えません。ですが今の話を聞いてトリトハイム殿がどのような判断を自身の考えを持って下すのか、その事の方が私にとっては重要ですので」
「っ!・・・私が、自身の判断で・・・」
孔明はそれでゆっくり考えるように勧めるが、何故いっそ味方に引き入れないのかと言ったようなそうしてほしいと言わんばかりの声をトリトハイムは上げる。だが孔明の微笑を浮かべての信頼を滲ませたような返答にトリトハイムは何か粟立ちを感じたように身震いをする。
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