「・・・私は既に手を打っています。ルーク殿がアクゼリュスを滅ぼさないようにと、キムラスカとマルクトが戦争と言った事態にならないようにするために」
「そっ、それは本当ですか・・・！？」
「えぇ、ですがそうすることは大詠師の本意ではないということ・・・つまりは預言の達成を邪魔する事になります」
「そっ、それは・・・」
「トリトハイム殿に尋ねたいのはここからです・・・これからの展開としてもし今回アクゼリュスが消滅しなくなったとしても、大詠師が預言の達成を諦めることはまずないでしょう。むしろ私が邪魔したことにより、私を敵と見なした上で動こうとするのは間違いありません」
「・・・大詠師が丞相を敵に見る、ですか？」
「えぇ。大詠師は私を信頼していると言うより、有能で使えるから側に置いていると言った程度の認識ですからね」
（有能・・・ダアトの上層部なら誰もが丞相の有能さは知っていますが、自分で言うとは・・・）
「何か？」
「いえ、何でも・・・」
そこからモースと自分の立場が違うのかと説明する中孔明が平然と自身を有能と言う様子に、トリトハイムは唖然としながらも問われた言葉に首を横に振る。
「話を戻しますが大詠師がその事実を知り、尚且つ私があの方に捕らわれるような状況ともなればあの方は私を容赦なく断罪することでしょう。預言を止めようとしたという事実を盾にして、どんな形でもです」
「それは・・・」
「そして今、トリトハイム殿は私の言葉により私と大詠師・・・二人の真実を知ることになりました。最も、私が提示出来る証拠はこの二つの譜石で、時間があればまだ多少は説明のしようもあるでしょうが今はゆっくりと時間を取ることが出来ません。私の計算通りならこの数日後には私の手の者により、アクゼリュスの消滅を止めたという連絡が入ってくる手筈になりますが、同時に大詠師にも遅かれ早かれ止められたという情報が入ってしまうでしょう。そうなれば大詠師は本腰を入れてアクゼリュスの消滅を目指して動いてくると同時に、私の事を邪魔者と認識するでしょう・・・そうなれば大詠師が取る対応としては、貴殿方に命じて私を捕らえようとするが妥当な線になります」
「！・・・私達に、ですか・・・」
「私の地位は教団の中では高い位置にあり、その上の立場にいるのは導師に大詠師・・・そして詠師の方々くらいです。それで導師も大詠師自身もいない状況の中で誰が私の捕縛の指揮を取らねばならぬかとなれば、詠師の方々をおいて他にはいません。私は表向きは大詠師の忠実な部下ですから、下の者では何か手違いなのではと恐縮して動けない可能性がありますからね」
「だから、我々にその役目を大詠師が回すというのですか・・・」
「そうなりますが・・・トリトハイム殿はそれでいいのですか？自分達に関係の無いところで預言についてを勝手に実行し、救えるはずの人の命の事など気にすることもなく動く・・・そんな言われるがまま、預言ならとただ付き従うようなやり方に従うのは」
「っ・・・そう、言われても・・・どうすればいいか、私には分かりません・・・確かに大詠師の行動についてどうかと感じるところはありますが、だからと言ってどうするべきかなど・・・」
（・・・ふむ、あと一押しと言った所ですね。では決定打を放つとしますか）
孔明は気にせず話を続け進み方次第で自身に身の危険があること、その上で詠師陣に役割が回されると言うとトリトハイムは視線をさ迷わせどうすればいいか分からないと困惑する。孔明はその様子に手応えを感じて、更に口を開く。








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