軍師、侵略する
「はい。その他にも危険な可能性はいくつも上げられますが、それとはまた別にマルクト同様大詠師の手の者にも事実を知られるのを避けたかったからでもあります」
「た、確かに貴方の行動が大詠師に知られれば全て水の泡になりかねませんが・・・その上で、具体的にどのような危険性を考えていたのですか?」
「事実を知ったとマルクトの動きで察した大詠師が、有無を言わさずにルーク殿をアクゼリュスに向かわせる強引極まりない手段を取ることです・・・もう今頃バチカルからアクゼリュスへ向けてルーク殿は動いているでしょうが、それはマルクトがアクゼリュスの救援を願ってという状況があっての大詠師の考える好機故の物です。ですが事実を知ったマルクトの警戒が強まり、きっかけを見つけようがないとするなら大詠師は力ずくでいけばいいとでも思うのは間違いありません・・・アクゼリュスが聖なる焔の光と共に滅びれば預言通りになる、だからマルクトの守りが固かろうがどうだろうがそれさえ達成させれば事は無事に成る・・・と言ったように」
「っ!?そ、そこまで強引に大詠師は動くと言うのですか!?」
「はい、まず大詠師の考え方から見てそういった選択をする事は確実だったでしょう。その上でマルクトがアクゼリュスを守りきれたであろう可能性はほぼ無いに等しかったでしょうね・・・原因を大きく二つに分けるならまず一つはアクゼリュスを援助するためのマルクト側の道がどちらも現在は使えなくなっていることで、もう一つは今現在もアクゼリュスに蔓延している障気という毒性の強い気体・・・短期決戦ならまだマルクトも戦いは出来るでしょうが、長期となればまず二つの不利を抱えるマルクトが負けることは避けられません。援護もないばかりか毒に晒されたままで動くこともままならないなど、勝ち目を探すことの方が難しいと言わざるを得ませんからね」
「・・・丞相から見てもそう思われるのですか?」
「障気が無ければまだやりようはあるでしょうが、障気に晒されたままでは兵の体調以上に士気にも関わります。守るための戦いで守るべき土地の環境によって追い詰められ、いつ終わるかも分からない防衛戦を繰り返す・・・このような状況でアクゼリュスを守り戦い続けるなど、例え戦える体調を維持出来たとしても士気が下がりいずれは破綻をきたす以外にまず結末は見えません」
「むぅ・・・そこまで来てしまえば、最早打つ手も無くなってしまうということですか・・・」
そんなトリトハイムに次はとモースの取るだろう行動が危険であることと、マルクトがアクゼリュスを守る際にいかに不利なのか・・・それらをどうにかするのは相当に難しい事ときっぱり言う孔明に、トリトハイムも苦々しく頷く。それほど難解な事なのだと理解し。
「えぇ、これらの危険はあくまで一例に過ぎませんが今の話も他の可能性も大詠師が預言通りの戦争を実現させようとしている・・・という紛れもない前提があるからこその物です。そして大詠師がその目的についてを今更見直すような事はまず有り得るような事ではありませんし、何よりもうルーク殿はアクゼリュスに向かうように動いている・・・これらは現在進行形で起こっている事であり、同時に先の展開でもある戦争まで含めて止めたい事でもありますが私が何故今ここでこれらの話をしたか・・・それは貴方がどのように考えて行動するのか、と言うのを問う為です」
「え・・・わ、私に問う為・・・?」
孔明はそこからがむしろ本題と今までの話は問う為の前フリといったように言い、トリトハイムは逆に戸惑う。自分が問いかけていたはずが、初めからそれを見越されていたかのような返しに。
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「た、確かに貴方の行動が大詠師に知られれば全て水の泡になりかねませんが・・・その上で、具体的にどのような危険性を考えていたのですか?」
「事実を知ったとマルクトの動きで察した大詠師が、有無を言わさずにルーク殿をアクゼリュスに向かわせる強引極まりない手段を取ることです・・・もう今頃バチカルからアクゼリュスへ向けてルーク殿は動いているでしょうが、それはマルクトがアクゼリュスの救援を願ってという状況があっての大詠師の考える好機故の物です。ですが事実を知ったマルクトの警戒が強まり、きっかけを見つけようがないとするなら大詠師は力ずくでいけばいいとでも思うのは間違いありません・・・アクゼリュスが聖なる焔の光と共に滅びれば預言通りになる、だからマルクトの守りが固かろうがどうだろうがそれさえ達成させれば事は無事に成る・・・と言ったように」
「っ!?そ、そこまで強引に大詠師は動くと言うのですか!?」
「はい、まず大詠師の考え方から見てそういった選択をする事は確実だったでしょう。その上でマルクトがアクゼリュスを守りきれたであろう可能性はほぼ無いに等しかったでしょうね・・・原因を大きく二つに分けるならまず一つはアクゼリュスを援助するためのマルクト側の道がどちらも現在は使えなくなっていることで、もう一つは今現在もアクゼリュスに蔓延している障気という毒性の強い気体・・・短期決戦ならまだマルクトも戦いは出来るでしょうが、長期となればまず二つの不利を抱えるマルクトが負けることは避けられません。援護もないばかりか毒に晒されたままで動くこともままならないなど、勝ち目を探すことの方が難しいと言わざるを得ませんからね」
「・・・丞相から見てもそう思われるのですか?」
「障気が無ければまだやりようはあるでしょうが、障気に晒されたままでは兵の体調以上に士気にも関わります。守るための戦いで守るべき土地の環境によって追い詰められ、いつ終わるかも分からない防衛戦を繰り返す・・・このような状況でアクゼリュスを守り戦い続けるなど、例え戦える体調を維持出来たとしても士気が下がりいずれは破綻をきたす以外にまず結末は見えません」
「むぅ・・・そこまで来てしまえば、最早打つ手も無くなってしまうということですか・・・」
そんなトリトハイムに次はとモースの取るだろう行動が危険であることと、マルクトがアクゼリュスを守る際にいかに不利なのか・・・それらをどうにかするのは相当に難しい事ときっぱり言う孔明に、トリトハイムも苦々しく頷く。それほど難解な事なのだと理解し。
「えぇ、これらの危険はあくまで一例に過ぎませんが今の話も他の可能性も大詠師が預言通りの戦争を実現させようとしている・・・という紛れもない前提があるからこその物です。そして大詠師がその目的についてを今更見直すような事はまず有り得るような事ではありませんし、何よりもうルーク殿はアクゼリュスに向かうように動いている・・・これらは現在進行形で起こっている事であり、同時に先の展開でもある戦争まで含めて止めたい事でもありますが私が何故今ここでこれらの話をしたか・・・それは貴方がどのように考えて行動するのか、と言うのを問う為です」
「え・・・わ、私に問う為・・・?」
孔明はそこからがむしろ本題と今までの話は問う為の前フリといったように言い、トリトハイムは逆に戸惑う。自分が問いかけていたはずが、初めからそれを見越されていたかのような返しに。
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