軍師、侵略する

「・・・ん?そ、そう言えば大詠師に詠師と今丞相は言いましたが・・・導師はその事実に当てはまらないのですか?その・・・軟禁されていたことを考えますと導師も預言の事を知っていて、それらを明かそうとしていたからそうなったのでは・・・」
「いえ、それはありません・・・元々大詠師や詠師とは異なり、導師は血筋の事がありますから直径の人間以外に導師を拝命させることは出来ません。ですので私の調べでは歴代の導師には預言に関しての事実は確かに知らせることは知らせるようではありますが、あくまでもそれは預言を重要視しているかどうかの姿勢を評価された上での事のようでした」
「なっ・・・それは、導師の意志など必要ないと言わんばかりの物ではありませんか・・・教団のトップである導師の意志ではなく、その周囲の意志により左右されるなどと・・・!」
「・・・導師があらぬ思想を身に付けた場合、そのもしもの危険について考えればこその方法として有効であることは確かではあると言えます。だからこそ大詠師は過去のやり方に倣い、導師を軟禁という形で黙らせようとしたのです」
「・・・っ!」
ただそこでふとイオンというか導師が預言を知っているのかというトリトハイムの疑問が出てきたが、孔明からのダアトの暗部とも言える場所のやり口を聞いてワナワナと体を震えさせる。人を育てるのにはあまりなやり方だと義憤を抱くような形で。
(・・・確かに意志を無視したやり方は私もどうかとは思いますが、国の主の子どもともなればある程度教育の仕方という物も確立される物なんですけどね。将来の事を考えた上で、何人か候補がいるならその個性を踏まえる形でですが・・・まぁ厳密にはダアトはローレライ教団の本拠地で導師は国主ではないから、と言った風にトリトハイム殿は思っているのでしょうし説明に時間もかかりますから何も言いませんけどね)
そんな姿に孔明は内心で自身の知識の内ではそんなおかしな事ではないと思いつつ、言わずに済ませようとひっそり決める。



・・・国のトップの子ともいった存在は、基本的に跡取りとして相応しい教育が施される物である。それが正しい物であるかどうかは見る者によって違う物だが、次代のトップを育てるのにその人物の人間性を見て試すような事をするのは孔明としては望ましくない事だと考えている。

前世で主の人物から子どもを託された時に主の器でなければ自身が主になるようにと言われた孔明だが、そうはしなかった。主の子を能力が低いからだとかもう少しどうにか出来る余地があったという気持ちもあったが、共に主と歩んできたからこそ主の子を主として掲げたいと思ったからこそ意地を貫く形で。

故に色々調べていった中で導師に対する教育の仕方に関して、孔明としてはいかがな物かという気持ちを抱かずにはいられなかった・・・まぁ今のイオンに関しては多分にどうしようもない点があったのは事実であるし、慎重を期すなら間違いとは言い切れないやり方ということは孔明も理解はしている。ただそのやり方の根底にあるのが人の為であったり国をより良くするという物ではなく、あくまで預言達成を最優先とする・・・という在り方を問題視しているのだ。



(ですがもうそのような事はさせません・・・確かに私としても許せることではありませんが、それ以上に預言達成の姿勢を保とうとし続ければいずれ取り返しのつかないことになりますからね・・・!)
・・・だからこそ孔明は強く決意をしているのだ、そのやり方が許せない事もあるが孔明でもどうにもならない事態になりかねないことを阻止する為に。












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