軍師、子どもをもらう

「えぇ、私もそう思います。そして私は貴女があの二人と考え方が違うという風に見たからこそ、こうやって貴女を養子にとしたんです・・・貴女を助けるために」
「・・・そう、だったんですね・・・だから、私を・・・」
「・・・やはり、複雑ですか。話を聞いても、自分だけが助かるということは・・・」
「はい・・・丞相の言ってることはよく分かりました・・・でもパパとママの考えが変わらないって聞くと、やっぱり複雑です・・・」
「そうですか・・・」
そして今までの流れを集約するように話す孔明だが、アニスが両親の事を思い表情を明るくしない様子にそっと目を閉じる。
「・・・でしたら、今は我慢して私の元にいるべき時と考えて動いてください。現状でモースの言うことに逆らう事がどういうことになるのか、それは貴女も分かっているでしょう」
「・・・はい、それは」
「全てが終われば貴女は自由の身となります。その時になれば私は貴女との養子縁組についてを解消するかどうかについての決断の機会を設けますので、我慢をお願いします」
「・・・解消するかどうかって、どうして解消するって言ってくれないんですか?今の感じだと、そう言うのが当然だと思うんですけど・・・」
それでまた目を開いて我慢をと求めてくる孔明だが、アニスは何故選択をする形なのかと首を傾げる。必要ないのではないかと。
「・・・私の予定では後二年後か、最低でも三年後までには貴女がスパイをしなくてもいいようにとモースをどうにかするよう働きかけるつもりではいます。ですが先程言ったよう、貴女の両親に関しては私から働きかけたとてこれで大丈夫などと太鼓判を押すことは出来ません。むしろそこからは貴女を利用するためにモースが生かさず殺さずと借金を返した状況が無くなり、正真正銘彼らは借金などをすれば自分達だけで返すことになります・・・そうなってしまえばもし貴女が二人の元に戻ったなら、以前のように借金と向き合う人生に戻ります。貴女が二人の娘であり、籍を置いてあるからこそ連帯責任を負う形でです」
「!!」
だが予想外の答えを聞かされアニスは驚愕した、また借金生活に自分が入る可能性が高いと聞かされ。
「もし貴女がそれでも両親の元に戻りたいと言うのなら、私が貴女を止める事は出来ません。ただ貴女が私の養子としての立場を選ぶというのなら、貴女にその影響が及ぶことはありません」
「っ・・・でも、そんなことをしたら私だけ逃げるような事になるんじゃないんですか・・・?」
「・・・確かにそう言った見方をする事も出来るでしょう。ですが公の立場としては貴女はもう私の養子になりますから逃げと穿った見方をする人物は表向きにはいないでしょうし、何よりそれからの人生を考えると二人の変心がない限りは貴女が被害を被る事は避けられないでしょう・・・彼らのお人好しは変わるべきものかどうかは正直な所私にも分かりませんが、もし先に言ったような形で変わらぬのならば貴女に待っているのはまず間違いなく苦労以外にありません。貴女はそのような状況に陥ることをよしとしますか?」
「・・・それは・・・」
孔明はその危険性についてを詳しく話をしていき二人が変わらなければと言うと、またアニスは表情を歪める。そうなった場合の将来の姿を想像してしまったのだろう、自身が借金を返す為に疲れはてた姿になっていた姿を。
「・・・少々話を急ぎすぎたようですね。この話に関してはまだ時間がありますので、その時までに考えておいてください。その代わりといってはなんですが、養子として貴女を引き取ったからには出来る限りの協力はさせていただきますよ。貴女が私の元でゆっくりと過ごす事もですが、知識を得るための協力もね」
「・・・知識、ですか・・・これからどうなるかまだ分かりません。けど今は私は丞相に頼るしかありません・・・知識についてはまだともかくとして、よろしくお願いします。丞相・・・」
「えぇ、よろしくお願いします。アニス」
孔明はその姿に話をそこまでと義理の親子としての関係について言い、アニスは迷いながらも頭を下げ孔明は微笑を浮かべ挨拶を交わす。義理とは言え親子となる二人の、最初の一歩として・・・















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