女忍、躍動する

「・・・何でって思っただろうけど、もうティアに何か言うだけ今は時間が勿体無いだけだよ。変に説得するより気絶してもらった方が手っ取り早く済むって思ったからこうしたんだ」
「・・・確かにそうですね。すみません、奥方が止めてくれなかったら怒りのままに時間をかけるばかりでした」
「いいっていいって♪もう済んだことだしね♪」
くのいちは地面に倒れこんだティアを見下ろしながら手っ取り早い手段を選んだと言い、冷静になったリグレットは自分も時間を使う所だったと謝るが笑顔で首を横に振る。
「・・・では時間が勿体無いと言うなら、タルタロスの中で話をしましょう。とりあえず我々が大詠師に謡将の息がかかってないことはお分かりいただけたでしょうし、すぐには戻っては来ないでしょうが謡将がこちらに戻って来るような事になれば些か面倒な事態も有り得ます」
「そうだね~・・・そちらはどう?」
「・・・構いませんよ。今の状況ではそれが最善でしょうし、まだ色々と聞きたいこともありますしね」
「他は・・・」
「ま、待ってくれ・・・俺の、俺の事を師匠があんな風に言った理由って何なんだ・・・!?」
ディストはそこで話を切り上げタルタロスに入るように言い、くのいちはどうかと話題を振ると今まで黙っていたルークが絞り出すような声で精一杯の主張をしてきたことに困ったように頭をかく。
「・・・そこについてはタルタロスの中で話すんで、いいっすか?ちょいと話が長くなる上にややこしい物なんで、腰据えて話をしないとそちらも理解出来ないと思うんで」
「・・・分かった、けどこれだけは聞かせてくれ・・・その理由って、俺にとっていいものじゃないよな・・・?」
「・・・そう認識して間違いないのは確実だと思うけど、こっちも一つ確認するよ・・・本当に事実を聞きたい?・・・今言ったようにいいものじゃないことは確実だし、聞いて後悔しない可能性の方が高いと思う。今ならまだ部屋にこもって全部が終わるまで待って、何も聞かないで済ませるって選択肢も提示出来るよ」
「それは・・・っ!」
「今すぐ答えを出すようになんて言わないよ、まだ時間は十分にある・・・しばらく時間を使っていいから、それまでの間に考えておいて。辛くても事実を受け止めるか、色々忘れることは多くてもキツい事がなくなる事になる状況・・・どちらを選ぶかをね」
「・・・分かった・・・ちゃんと考えるよ・・・」
「ならよし」
くのいちはその様子に次第に真剣さを増していきながら選択肢を提示し、ルークもその真剣さに深く考えた上で静かに頷き、その様子に笑顔を見せる。傍らで何か言いたげだが必死に歯を噛み締めながら我慢するアッシュなど、知らないとばかりのいい笑顔で。


















・・・一方、少し時間は進んで場面はダアトに移る。



「・・・ふむ、ひとまずくのいち達の行動は予定通りと言った所ですか。まずは何よりです」
自身の執務室の机で送られてきた手紙を見ながら、孔明は満足そうに頷く。
「ですが彼女達だけに任せていられません。私もまた本格的に動かなければなりませんね」
そして静かに椅子から立ち上がりながら孔明は決意を口にする。今度は自分の番だと・・・












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