女忍、躍動する

「じゃ、じゃあもし私もモース様の元に戻ったとしたなら・・・今言ったように殺されると、言うんですか・・・!?」
「多分どころか、確実だと思うけど・・・ティアがモースの事をそんなに信じてる理由って常日頃から目をかけられてもらってるからとか、そういった理由じゃないよね?私や旦那様が調べた限りじゃモースとティアが密接にどころか、一日も一緒に時を共に過ごした事なんてないっていうのは知ってるけどさ」
「そ、そんなことまで知ってるなんて・・・!」
「そこについては置いておいて、どうなの?なんでそこまでモースを信じてるの、ティアは?」
「それは・・・」
そこに今度こそティアが愕然とした様子ながらモースについて口にした事に、くのいちが調べたことについて口にしつつ質問すると答えにくそうに視線を反らす。
「・・・・・・私が、モース様の事を信じている理由は、モース様が預言を達成することだけを願われてる事から信じれると思ったんです・・・モース様ほど敬虔なローレライ教団の信者はいなく、預言を達成するために動かれている方はいないと・・・」
「その結果が今のこれ、だよ?・・・預言を達成するためにアクゼリュスごとティアを含めて親善大使一行ごと消滅させようとした、というね」
「っ、も、もしそうだとしても・・・わ、私は何も間違ったことはしていません!」
「んじゃ、ファブレ邸に押し入ってまで謡将を襲った場違いな行動に関して全く間違いじゃなかったなんて胸を張って言える?旦那様に言われて謡将共々引き渡されることになったことを考えてさ」
「っ!あっ、あれは・・・い、今となってはもう兄さんを止める為だったと分かるはずです!」
「それは今この場で、それも私達相手だから言えることでしょ?もし今この状況をモースが知ったとして、預言が達成出来なかったティアを見て自分を許してくれるなんて思えるの?即座に反論するんじゃなく、少しは考えてから答えてみてほしいな」
「っ・・・っ・・・それはっ・・・モース様が、私を切り捨てるなんて・・・そんなこと・・・!」
「・・・ホント、どうしてここまで変に意固地でいて妙な固定観念を持ってるのかなこの子は・・・やりにくいったらありはしないよ・・・」
それでも何とか自身にモースの事を悪く言われまいと必死にあがこうとするティアだが、反論の余地を見出だせないような言葉を向けられても尚諦めきれずブツブツ呟く様子にくのいちが珍しく心底から疲れたような声を上げる。
「・・・くのいちさん。少し僕から言いたいことがあるので言わせていただいていいですか?」
「あ、いいよ」
「イ、イオン様・・・一体何を・・・?」
そんな時に手を上げたイオンの主張にくのいちはあっさり許可を出すが、ティアは動揺を消せないままに何をと返す。
「ティア、貴女はあくまでモースの事を清廉潔白だと主張するような事を言っていますが忘れたんですか?僕が軟禁状態にあったのは、モースの命令によってだということを」
「あっ、あれは・・・」
「・・・貴女がどのような理想をモースに抱いているかは知りませんし、事情を全て知った上で僕達がこの状況を何も言わずにおいたことは悪いとは思っています。そして色々と信じたくない事実が出てきていて、混乱してるとも分かっています・・・その上で僕達の事を信じられずモースの事を信じるというのはこの際構いませんが、くのいちさん達の立場から見れば今の貴女を放置することは出来ません。ですから僕達の間で話には出てはいましたがこれから先、貴女の行動に関しては制限をかけさせていただきます」
「なっ!?なんでですか!?」
イオンは真剣にモースの危険性についてを語った上で行動の制限をかけると言い、ティアは心外だとばかりに焦り声を大きくする。










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