女忍、躍動する

「・・・もう一々言わなくていいんじゃないの、お母さん?ティアにあんなことなんか」
「言わないまま終わらせてもよかったけど、まぁ気まぐれとしか言いようがないかな?それに変にしつこくされても困るしね~。ティアって言いたいことに聞きたいことは聞けるなら聞きにかかるし」
「あぁ、そんなタイプだよね・・・ティアは」
そのくのいちの隣を歩きながらアニスはいいのかと問うが、その返しに納得する。ティアは妙な所で諦めが悪い面があるために。
「まぁそういうわけだけど・・・覚えとくといいよ、アニス。旦那様は多分例外の中でも相当な例外に入ると思うけど、ルークのあぁいった態度って男の人なら普通にあってもおかしくない態度だよ。多分ティアは謡将とルークの事を比較した上で自分達に対してあぁいった態度はいかがなものかみたいに言ってるけど、そういった面もあるって事を覚えておけばもし男の人と付き合うってなった時に役に立つよ」
「うん・・・それはいいんだけど、どうしてそんなに笑顔なのお母さん?」
「子どもが幸せになるようにって願うのは当然の事でしょ?」
「・・・うん、ありがとうねお母さん」
それで個人として忠告をするくのいちに何故と聞くアニスだが、優しい笑顔からの優しい言葉にそっと恥ずかしそうに頬を染めた。












・・・そんな冷めたやり取りと家族に対する暖かいやり取りの後、くのいち達は特にトラブルなど起こることもなくデオ峠を越えた。最後尾で未だ動揺覚め遣らぬ様子で付いてくるティアなど気にした様子を誰が見せるでもなく。

それで特に誰かが邪魔する素振りなどもないまま、一行は目的地・・・アクゼリュスへと到着した。



「・・・うわぁ、話に聞いちゃいたがこんなんなのかよここ・・・」
「想像以上に酷いな、これは・・・」
街の入口付近でルークは街の様子を見て絶句に近い声を漏らし、ガイもそれに同意する・・・街全体を紫色の障気という気体により染め上げられ、所々に人々が倒れてる光景を目の当たりにしたために。
「あぁ~・・・こんな時にちょいと言いにくいっすけど、あっしらはどこに導師がいるか探しに行くんでこの辺りで失礼するっす。アクゼリュスに神託の盾が何しに来るのかは知らないし今もここにいるかは分からないっすけど、もし近くにいるんならここ辺りにいる内に行動しないとまずいことになるんで・・・」
「あぁ、そうか・・・んじゃな、俺らはさっさと師匠達の所に行くからよ」
「はい、んじゃこれで・・・」
その空気の中で切り出しにくそうにくのいちは自分達は場を離れると言い出し、ルークがすぐに頷いてくれたことでそそくさとアニスと共に場を後にする。



「・・・来ましたね、お二人とも」
「状況はどう、ディスト?」
「もう既にセフィロトへと続く扉は導師には開いてもらった上で、謡将はその扉付近で待機といった状態で待っていると思います。明らかに先に行き過ぎるとルークだけならともかく、ジェイド辺りも連れていく事になりかねませんしね」
「まぁジェイドは流石にまずいだろうしね。謡将からして見てジェイドは警戒対象だろうし」
そしてアクゼリュスの入口から少し離れた場にて待機していたディストの元に来たくのいち達は早速と情報交換する。ヴァンについてを。












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