女忍、躍動する

「でも後者だった場合はガイの立場もそうだけど、謡将の説得次第でそう転ぶって可能性があるんだよね~・・・ただそうなるとまず間違いなく謡将の考え方からすると、アッシュを生かす方に流れを作るだろうからルークが危険なのがまたねぇ・・・」
「あぁ・・・最初こそガイはやりたくないとか言いそうだけど、謡将の説得でそれもやっちゃいそうな空気があるのがまた何とも言えないなぁ・・・」
更にその可能性を更に掘り下げていくくのいちに、アニスはうなだれそうになるような重い口調で返す。ガイの優柔不断で流されやすいその性質から、ヴァンに最悪な展開に持っていかれる可能性が高いという可能性に。
「まぁそこのとこも含めてこれから先しばらくは進めていこうと思ったから、安心していいよ」
「しばらくはってことは、お父さんと合流するまでって事ですか?」
「一応はね。ただ旦那様が私達と合流してどういう判断を下すか断定出来ないから何とも言えないかな。そこから先は旦那様任せだし」
「・・・もしかすると、ガイとアッシュを引き合わせる事態にすらしないことも有り得るって事ですか」
「そういうこと」
それでもそんなことにはさせないと言い切るくのいちに孔明についてをアニスは聞き、判断を任せんとする旨を聞いて予感めいた事を口にする・・・そうならないよう、どちらかを殺すことも有り得ると感じたとばかりに。









・・・その後、後はゆっくり休もうということでくのいち達は会話より休息の方へと時間をあてた。そして翌日になり、一同はアクゼリュスへ向かうべく再び歩を進めていく。









・・・それでそんな一行はキムラスカ側からアクゼリュスへ向かう唯一の道である、デオ峠へと辿り着いた。
「ここを越えりゃアクゼリュスか・・・見た感じだと登り降りとか激しそうじゃあるが、どれぐらい長いんだよここ?」
「距離自体はこれまでの道程長くはないっすけど、今ルーク様が言ったように起伏が激しいんで急ぎすぎは禁物っす。峠は険しいんで結構足を痛めやすいっすから」
「んだよ、めんどくせぇ・・・でもまぁ足を痛めんのも馬鹿らしいし、余計時間とんのも嫌だから確実に行くか」
入口で先を眺めながら距離はどうかと漏らすルークにくのいちは距離より急がないことが大事と足の事を口にし、嫌そうに表情を歪めながらも素直にそうすると返し歩き出す。
「・・・あの、一つ聞いてもいいですか?」
「ん?なーに?」
そこに近付いてきたのはティアで言いにくそうにしながらも伺いを立てられた事に、くのいちは気楽そうに返す。
「なんで貴女はルークのあの態度を平然と受け止める事が出来るんですか?あのわがままなルークの態度を、気にした様子がないようになんて・・・」
「・・・わがままと言うけど、あれがティアにはわがままに思えたの?」
「え?・・・そ、そうじゃないんですか?」
「・・・人の態度を見てどう受け取るかはその人の感じかた次第。私から見たらルーク様の態度はわがままには思えないし、もっと言うなら不快な物でもない。けど貴女はそうと感じてやまない・・・それがいいことか悪いことかはともかくとしても、ティアが自分に同調してほしいからそう言ってるんなら私がティアに言うことは何もないよ」
「えっ・・・えっ・・・!?」
それで何故ルークの横暴を見逃すばかりか寛容なのかといったような声を向けるティアだが、くのいちがすぐに冷めきって突き放すよう言葉を向けてさっさと歩き出した事に、戸惑いと不安に表情と声を揺らしながらもたもたとその後を付いていくしか出来なかった。











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