女忍、躍動する

「それでは私からの報告ですが、我々はもう既にアクゼリュス付近にまで辿り着いています。ただ目的が目的な為に大半の兵士達はもう先にタルタロスから撤退していて、導師を除けばリグレットにアッシュの二人と我々側にいる僅かな兵が今は残るのみといったくらいしかいません。私はそこで自分も離れると表向きはしつつ、隠れてここに来た次第です」
「ん?・・・リグレットに多少兵士が残るのは分かるけど、なんでアッシュがそこで残るの?残るとしたならシンク辺りが残るのが妥当だと思うんだけれど・・・」
「それに関してはアッシュが残りたいと言ってきたからですよ。我々も残る必要はないだろうとは言ったのですが、聞く耳は持たず残ると言い張り・・・やむ無く残したといった感じです」
「そっか・・・アッシュが残る、ねぇ・・・」
そこで自分が持ってきた情報について報告するディストのその中身にくのいちはアッシュの部分で引っ掛かり、その時の事を返され考え込む様子を見せる。
「貴女も今感じているかもしれませんが、単に彼は残りたいから残ると言っているわけではないでしょう。彼なりの思惑・・・丞相の予想が正しければ彼はアクゼリュスで謡将に反旗を翻す可能性が非常に高いと思われます。今までの独自に動いてきたような行動もそうですが、本来なら彼にとってアクゼリュスは運命の分岐点とも言えるような場所でもあり反旗を翻すならそこが最も適切な場面です」
「まぁ確かにアクゼリュスを除いたら、アッシュが謡将に反旗を翻すちょうどいい時期なんてそうそうどころか訪れるかどうかも正直怪しいしね~。そこを逃したらアッシュの性格からして、カッコがつく時だって思わないとまず動かないっていうか動きたくないとでも考えると思うし」
そんな姿にアッシュは反旗を翻すつもりだろうと孔明の言葉も交えつつ告げ、くのいちもまた同意しつつタイミングはそこしかないと性格も踏まえた上で言い切る。
「ただそうなると、アッシュはパッセージリングに行くまで所かセフィロトの扉を開ける事さえも停止をしにかかる可能性があるけど・・・どうするの、ディスト達は?」
「そこら辺についてはもうアッシュに内密にという形でリグレット達には先にアクゼリュスに向かってもらい、扉は開いてもらっています。パッセージリング前で邪魔に来るならともかくセフィロトへ続く扉の前で邪魔に来られたら至極面倒ですし、何よりもうアクゼリュス付近にまで来てる謡将が我々に対しての不信感を抱きかねませんからね。導師を連れているはずなのに、何故扉を開いていないのかと・・・ですからとりあえず扉に関しては大丈夫ですよ」
「あぁ、ならとりあえずルーク達がそこに行くまでは何とかなるかな・・・アッシュが来る時が早すぎると謡将が本性を現す時がズレて、妙な事になりかねないし」
しかしそれならアッシュの行動が微妙になるというくのいちだが、ヴァンも含めてもう行動済みと言った返しに一先ずは安心と言った様子を浮かべる。
「・・・それで、アクゼリュスの人達の救助に関してはどうなの?そっちに関してはマルセル達も向かったはずだけど・・・」
「そこについてはもう完了していますよ。ただ表向きはアクゼリュスの住民は結構な割合で体調を崩していると見せるため、謡将が来るまでは演技で街中にダウンしてる人々を配置していますがね」
「まぁアクゼリュスに人が全くいないってのはおかしいし、それは確かに仕方無い事か。それくらいしないと、謡将の目は欺けないだろうしね~」
その上で話題を住民救出の方にと移行するくのいちにディストは抜かりないと返し、その中身に笑顔で納得する。騙すにはそれくらいはやるべきと。












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