「・・・そもそもの話になりますが、貴女は両親の馴れ初めもそうですがどういった人生を送ってきたのかと言うのを聞いたことはありますか？」
「えっと・・・それは、聞いたことありません・・・」
「簡単に言うなら、全部が全部預言だったのですよ。二人が結婚したのも幼少時からどういう生活をしていたのかも、そう言った物が全て預言基準・・・預言があったからこそ自分達があると、そう彼らは貴女の事を話した時に聞いたら言いました」
「・・・全部、預言・・・」
そこで孔明は両親の事について知っているかを問い首を横に振る姿に預言が基準と言い、アニスはその言葉に何とも言い難そうな複雑な表情を浮かべる。
「・・・いくら預言に詠まれたからとは言え、それで両親が簡単に結ばれたと聞いて複雑な気持ちになりましたか？一応貴女の為にも補足はしますが、どちらにも貴女や相手に対しての愛情はありますよ。それについては間違いはありません。何だかんだで十数年以上共にしてきた訳ですからね。ただ・・・預言ならとすんなり疑いもせず、互いの相性も気にせず結婚したと聞いた時には私も唖然とはしましたけれどね」
「・・・なんで、って・・・それが丞相の言っていた、疑う事を教えられなかったって結果なんですか・・・？」
「えぇ、私はそう思っています」
孔明はそこに気遣いの補足をしつつ自身の感想も混ぜながら話を進めるとアニスの言いたいことを何となくこうなのかと察した声に、自信を覗かせ頷く。
「彼らは預言を信じてきたことにより、幸福な人生を送ってきたと信じています。そして今までの彼らの人生において、目に見えた不幸・・・理不尽な暴力であったり、預言を信じたが故に手酷く裏切られた経験が無かったことがそう言った考えをより顕著な物としていきました。現実的な事を言うなら、預言を信じたことで裏切られたと怒る人がいるという事も知らずにです」
「え・・・そんな人がいるんですか？」
「はい。ですが今はその事については詳しくは触れずに話を進めさせていただきます・・・確かに二人は今まで特に理不尽な目に合わずに過ごしてきたのでしょう。そして預言に詠まれた通りに結婚してアニス・・・貴女という子宝にも恵まれ夫婦仲も喧嘩になることはおろか、険悪な空気になることすらないままに順風満帆なまま時は過ぎていった・・・人という物は知らない物、教えてもらっていないことに対しての順応性は歳を取るごとに失われていきます。そんな二人がお金を貸してはきても返済を急いで請求してこない人間を目の当たりにしたならどうなるか、貴女は二人の姿を間近で見ていたからこそ分かるのではありませんか？」
「・・・っ！・・・今までの人生で疑う事を教えられることがなかったから、そういう人なんだって疑う事なくそのまま受け止める・・・丞相はそう言いたいんですね・・・」
「・・・理解が早いことに関しては助かりますが、大丈夫ですか？相当に貴女にとって辛い事を話していると思うのですが・・・」
孔明はそこから二人の生き方についてを周りとの比較も合わせて説明した上でアニスに質問するが、理解を示しはするものの明らかに精神的なダメージを段々深く負っていく様子に心配の声を向ける・・・いかに兵としての立場があるとは言え、子供であり女性という立場のアニスに対し孔明も無遠慮に家族の悪印象としか言えない言葉を吐ける程に残酷にはなれない。それが故の気遣いである。
「・・・正直、辛いです。けど今ここで止められてもどうしていいか分からないので、続けてください」
「・・・分かりました、そう言うことなら」
しかしアニスが力なくも確かに首を横に振った姿に孔明はまた頷く。話を進めるとして。











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