女忍、舵取りに苦労する

「でもここまで来たらアニスも気になると思うだろうから言うけど、謡将がガイと繋がってる可能性は高いとは思うけど・・・ガイの完全な味方とは言い切れない感じがするんだよな~。謡将の目的を考えるとファブレもそうだけどルークが何より重要になるし、どっちかと言ったら制止に入ってたんじゃないかな~。行動を起こさせないようにして」
「行動を起こさせないように・・・ファブレに攻撃させないようにって事ですか?」
「うん・・・多分ガイがファブレに入ったことは謡将にとってあんまり望ましい物じゃなかったと思うよ、目的から考えると。ただ謡将の目的にそぐわないのにあえてガイをファブレに置く理由が何なのか・・・年齢差を考えると普通なら謡将がガイを訳もなく入らせないようにしてもおかしくないけどそれをしないか、もしくは出来ない理由がある・・・多分可能性として有り得るのは後者かな。命令出来る立場にあるだろう謡将がガイをわざわざファブレに置いとく危険性を考慮した上でそうする利点が思い付かないし・・・」
「出来ない理由、か・・・色々推測は出来ますけど、可能性を上げていくと本当にキリがないですもんね・・・」
それでもと一応はガイについての話を続けていく二人だが、上げれば上げるほどに出てくる可能性に本当にうんざりしたように表情を歪める。
「・・・もうこの話についてはここまでにしておこうか、アニス。今の状況ならガイがルークに対して何かする事はないだろうし、せめてもう少し情報とか証拠がないとガイをどうにかしようもないしね」
「もうガイをどうにかするのは確定してるんですか?お父さんに聞くこともなくそう言っちゃってますけど・・・」
「一応旦那様には後で経緯を書いた手紙を出した上で許可をもらうつもりじゃいるよ。流石に私もそこまで考えなしの行動は取らないって。まぁ旦那様なら私と同じような結論に辿り着くと思うよ・・・少なくともガイをどうにかするべきだってね」
「お父さんなら簡単そうですよね。ガイの本音を引き出すくらい」
「まぁね~。あの人以上に弁舌が立つ人なんていないだろうってのもあるけど、それ以上にその舞台をこの上ない状態で整えてくれるだろうし・・・はぁ、早く旦那様と合流したいな~。ここまで事態がねじれ曲がった状態になるなんて思わなかったし、元々私そこまで頭脳派とか軍師って感じじゃないし旦那様の指示が恋しいよ~・・・」
「・・・本当に珍しい・・・お母さんがここまでになるなんて・・・」
それで話は打ち切ると言いつつも尚も状況の難しさに孔明の事を出して体をグデンと曲げて脱力するくのいちの姿に、アニスは目を丸くしてその様子を見ていたがそっと首を横に振る。
「・・・取りあえず後はもうゆっくり休もう、お母さん。港に着いたらアクゼリュスまでそんなに無いんだし、リグレット達もまた連絡に来ると思うからそれまではこの考えは終わりにして・・・ね?」
「うん、そうするよ・・・ありがとうね、アニス。気遣ってくれて・・・」
「いいよ、だって・・・お母さんなんだから」
「ふふ・・・ありがと」
それでもういいからと休息を提案すると二人の間に、ふんわりとした柔らかい空気が流れる。先程の何とも言い難い微妙な空気が嘘のように・・・












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