女忍、舵取りに苦労する

「つーかそんなガイに興味あんのか、お前?何か色々聞いてくるけどさ」
「ん?・・・いえいえ、ちょいとガイの強さって一使用人って立場から見ると大分頭が抜けてる感じがあるから何でなのかな~って思ってたんすよずっと」
「へ?ってことはガイ程強い使用人ってそうはいねぇのか?」
「護身に主を守るためにある程度鍛えてる使用人はそこまで珍しい事じゃないんすけど、ガイは明らかに技量が段違いなんすよ。軍に入ってもそこそこいいとこに行って、将軍まで行ってもおかしくない将来性も見込めるくらいの成長性も含めて」
「そこまでなのか?あんまそんな風に思ったことなかったけど、もしかして師匠から色々教わってるのもあんのかな・・・」
「(おっ、まさかの何かの繋がりがあったり?)師匠って、謡将と何か接点でもあるんすか?ガイは」
「師匠がうちに来てる時たまに二人だけで何か話してんのをたまに見かけるんだよ。ガイが言うには同じ剣士として教えを受けてるって話だけど、それでガイもそこまでのレベルに行ってんのかな・・・だったらやっぱ師匠はすげぇな!」
「まぁガイ自身の資質もあっての事なんで、そこはガイも誉めてあげてくだせぇや(二人だけで、ねぇ・・・会話の中身なんていくらでも誤魔化せるし、ガイも謡将と繋がってる可能性に関してを頭に入れてリグレット達に改めて聞くべきかな?こりゃ・・・)」
そんな会話からガイについてやたら聞かれてるとルークから指摘された事にくのいちはいっそとばかりに突っ込んで話を聞いていき、嬉しそうな笑顔を浮かべるその姿に柔らかい笑顔を浮かべ返しつつ内心で行動方針を固める。ヴァンとの繋がりを確認するようにすると。
「はは・・・つーか何かこういう事言ったらなんだけど、お前らが一緒に来てくれてよかったぜ。訳ありにしても、あいつらとずっと一緒にいたらこんな風にならなかったろうしよ」
「こんな風にって?」
「ガイはともかくとしてもジェイドにティアがまともに話をするなんか思っちゃいないし、ナタリアがこっちに来た時の事を考えるとあいつらがまともに協力とかしてくれたとも思えねぇからな。その点でお前らがいてくんなかったら本当にどうなってたか・・・」
「・・・大佐はまぁあの感じだしダアトの身内じゃないからともかくとしても、正直ティアに関しちゃ否定出来ないんすよね・・・ケセドニアであっしがナタリア様の説得にかかってた時も自分の立場を気にした発言しかしなかったことを思うと、あっしらがいなかったら説得に力を入れてたとも自分の立場のまずさにすら気付いてたとも思えませんでしたし・・・」
それで笑顔を見せていたのに急に話題を付いてきてくれてよかったとうんざりしたようにしながら変えたルークに、くのいちも話を聞いて納得する。特にティアは役に立っていなかっただろうと考え。
「・・・つーかホントあの眼鏡はともかく、ティアはマジでどういう教育してんだよ?お前にアニスと比べると、あいつの出来の悪さ雲泥の差どころじゃねぇと思うんだけど・・・」
「あ~・・・そこは何て言うか、神託の盾も一枚岩じゃないからってのが大きいんすよね。普通に神託の盾に入るなら大抵はちゃんと手続きを踏んで軍の訓練を受けるんす。適正があるかどうかも込みで。でも中にはいるんすよ・・・偉い立場にいてその身内が来るから使うって言うか、使わざるを得ないって人物が」
「・・・師匠が兄上だからっていう、ティアみたいな奴の事なのか?」
「カイツールに着く前に話を聞いたでしょうけど、謡将も含めてティアってユリアの一族なんすよ。まぁそれだけで他が何にも出来ないんならまだ神託の盾として未熟だってんなら命の危険性もあるから入るなって拒否することも出来るっすけど、今までの旅で分かるようになまじ戦えたりして本人にやる気があるもんだから拒否出来なかったらしいんすよ・・・大詠師じゃなく旦那様が管轄だったら手を尽くして神託の盾にならないようにするか、もしくは心構えを一から叩き込んでただろうとは思うんすけどね~・・・」
「あ~・・・まぁコーメイの事を思い出すと、確かにあいつならそれくらいしそうだな・・・ってことはあぁなったのはモースのせいってことかよ、くそっ・・・」
(まぁ謡将が理由の大本なんだけど、話がややこしくなるから言わないんだけどね~そこは)
それでティアの使えなさについてから何処にでもある身内びいきの体質についてまで話題は行き、自分達は詳しく関与してないと言われてルークは苛立ったように頭をかくがくのいちは口にしない。ヴァンの不手際が理由と言っても師匠が好きなルークにそう言えば、余計な怒りを買うことになると思った為に。











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