女忍、舵取りに苦労する

「まぁあっしは厳密に言えば神託の盾には所属はしてないんすけど、旦那様がダアトの丞相って位置にいる以上責任だったり色々とあるんすよ。上の立場の人間として公私をハッキリ区別してやらなきゃいけないことがたくさん・・・だからあぁいった風に公私の区別が無くて自分の気持ちを優先するティアに関して、嫌いかどうかで物を言ったわけじゃないんすよ?」
「上の立場の人間としてねぇ・・・コーメイやくのいちがやたらティアに厳しくねぇかって思ったのはそういうわけだったのか」
「お見苦しい所を見せてはいるとは承知していますが、あの子はちょっと色々見過ごせねぇんでさぁ。ですんでこれからの旅の道中、あっしらが何かまたあったら見ないフリでもしてくだせぇルーク様」
「・・・まぁ別に俺としちゃそういう理由があんなら、別に構わねぇよ。そっちにはそっちの事情ってのがあんのはよく分かったし、俺が何か言うような問題じゃねぇんだろうしな」
「ありがとうごぜぇやす、そう言ってもらって(う~ん、何て言うかアッシュより素直だねぇ・・・ルークの方が・・・)」
そんなルークに理解してもらうようにと自身らの立場にティアの行動がいかに目に余る物かをくのいちが語ると、そういうことなら関与はしないと納得した姿にそっと頭を下げた。内心でアッシュとルークを対比しつつ。
「(あっ、この際だからついでに必要な情報を聞き出しますか♪)・・・と言うかあっしからも聞きたいんすけど、ガイと一緒に行動してないんで?ガイは使用人兼護衛みたいな立場だって聞いてるんすけど」
「あ、それは私も思いました。どうしてなんですか、ルーク様?」
「一々護衛だからガイを引き連れてなんてめんどくせぇだけだから連れてないだけだよ。それにガイだってそんなにずっと一緒になんてってのも面倒だろうしな。だから別に船の中くらい構わねぇって思って連れてねぇんだよ。向こうも承知の上でな」
「ふむふむ・・・」
その内心の中で良案とガイの事を切り出すくのいちにアニスも乗っかるように問いを向けると、ルークが疑いもせず理由を言う様子に納得の声を漏らす。
「・・・そう聞くとルーク様とガイの関係ってツーカーって言うか、結構長い時間あっての感じからくるものだと思うんすけど・・・その辺りはどうなんすか?」
「まぁ長い時間ってのは間違っちゃいねぇな。俺自身は七年前からしか記憶はねぇけど、それよっか前からガイはファブレにいて俺と一緒だったっていうんだから本当に長い付き合いなんだよな・・・それ以前の記憶がねぇからそっからの実感はねぇけどな」
「ほうほう・・・(パッと話を聞くだけでも7年以上・・・会話の流れを推察すると十年を越える時間をガイはファブレで過ごして、あの殺意を抱くに至ってる・・・年齢的にまだ20ちょいくらいだからファブレから出ても働き口は見つかるはずなのに、あえてあの殺意を隠してファブレに残ってる・・・賃金が他よりいいってのは労働者にとっては魅力じゃあるだろうけど、あの殺気じゃ賃金とか労働環境を気に入ってるとかっていうのはおかしいと言わざるを得ないし・・・やっぱりガイがファブレに対して、何か殺意を抱く理由を隠してるのは確実か・・・)」
そのまま自然にガイと知り合った年月についてを聞くとルークは正直に話をしていき、くのいちは曖昧な声を漏らす中で内心で考える。ガイはやはり何か隠している、殺意を抱くに至った理由があると確信する形で。










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