女忍、舵取りに苦労する

「・・・でもガイがファブレにいるのって話を聞く限りだと結構前からだって感じに聞きますけど、それでファブレかルークに対して恨みとか殺意を抱いてずっとって事になるんですよね?突発的な怒りをファブレかルークに抱いたとかみたいな感じでじゃなくて・・・」
「うん、それは間違いなさそうだね。あの殺気が出てた感じって鋭さに加えて隠し慣れているのが見えるから、一時の怒りに任せてなんてのじゃない・・・相当な牙を隠してるよ、ガイは」
「・・・お母さんがそう言うって事は本当にそこまでなんですね・・・」
アニスはそのガイに関しての根拠を確認するように問い掛けるが、くのいちはまず間違ってないと真剣に言いきり否応なしに緊張感をまとわせる。
「ただすぐに行動に移すにしたってファブレからは大分離れてるし、ルークが狙いだとしてもマルクトにまで飛んできて行方不明にしやすい状況の中で行動しなかった所から考えて、何か条件を満たさないとハッキリと行動に出ないだろうからしばらくはいいと思うけど・・・それがいつどうなるか分からないのが困るんだよなぁ・・・それこそさっき言った時のようになるのもそうだし、突然何かのきっかけで気が触れてルークに襲い掛かられたら旦那様の目論見も含めて全部おじゃんになりかねないし・・・」
「そうさせないようにするにはガイにどうにかその事実を明かしてもらわないとまずいけど、そんな殺意を持ってますなんて馬鹿正直に明かすような事を言っても得にならないし、何よりガイのあの振る舞い方を見るとそれを明かす時ってそれこそ行動に移す時くらいしか無さそうだし・・・けどその時って、まずバチカルに戻ってる頃だろうから都合よく私達って言うかお母さん達の手が出しにくい所だろうし・・・」
「う~ん、頭を使うのはともかく策を練るのはそこまで私の領分じゃないんだけどなぁ・・・」
続く会話だがくのいちにアニスは共に、表情を難しいと歪ませる。いかにガイという問題をどうにか無事に片付けるか、それが意外に難問な為に。
‘コンコン’
「う~っす、入るぞ~・・・ってなんだよお前ら、そんな辛気臭い感じの顔をして」
「あ~、ルーク様・・・ちょいと改めて話し合ってたんでさぁ。ルーク様達に気をつけながらどうにか神託の盾から導師を助け出すことを・・・けど流石にあの状況からってのはあっしでも難しいなぁって話になって」
「・・・まぁ普通に考えりゃそりゃ難しいだろうな。タルタロスもあんだし」
そんな時にノックからルークが部屋に入ってきて怪訝そうな表情をしていたが、とっさのくのいちの返しに納得してなんとも言い難そうに頭をかく。確かに重くなるのも当然と。
「それよりどうしたんですか、ルーク様?私達の部屋にわざわざ来るなんて・・・」
「あ~、なんつーか着くまで暇だと思ったからお前らと話でもしようと思ってきたんだよ・・・邪魔だったか?」
「あ、大丈夫っすよ。別に・・・って言ってもあっしらに何か聞きたいことあるんで?」
アニスはその話題を変えるよう用向きを問うと単に話に来ただけと返すルークに、くのいちはならと先を促す。
「ちょっと気になったんだけどよ・・・お前というかお前達ってティアの事って嫌いなのか?」
「えっ?・・・もしかして、さっきのやり取りからそう思ったんで?」
「まぁそうだけど・・・あんな風に態度に出すなんて、嫌いなのかって思ってな」
「あぁ、嫌いとかそんなんじゃないですって。単にティアが色々優先順位を間違ってるから、それをちゃんとわかるよう注意しただけですって」
「そうなのか・・・?」
それで聞かれたのはティアについてなのだが、笑顔で間違ってるからと軽く言い切るくのいちにルークは首を傾げる。そこまでなのかといったように。









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