軍師、子どもをもらう
「・・・いかに必要な事であったからといって、嘘で貴女を両親の元から引き剥がした事については心から謝らせていただきます。本当にすみませんでした」
「・・・正直、今どういう気持ちを丞相にぶつけていいか分かりません・・・私を守ると言った言葉がどういう物なのか、その中身を詳しく聞かせてください・・・それで丞相の事を許すかどうか判断します・・・!」
「・・・えぇ、分かりました」
孔明も流石にその姿に策とは言え親子を引き剥がした事を謝罪し頭を下げるが、アニスが多少意気を戻して説明を力を持った言葉で求めてくる様子に承知と頷いて返す。
「ただその前にお聞きしますが、貴女は両親の行動についてをどのように思っていますか?そして両親の事を好きか嫌いか、どちらかで言うならどちらでしょうか?」
「え?・・・パパとママの行動に考えについては、止めてほしいと思ってます。そのせいで私はいつも苦労してきましたし・・・ただ、それでも好きか嫌いかどっちかって言われたら・・・嫌いじゃありません・・・お人好し過ぎて自分達の事は後に回すような二人だけど、それでも私にとっては優しい両親なので・・・」
だが答えるかと思いきや両親についてを聞いてきた孔明にポカンとしかけながらも自分の心の中を明かしていき、嫌いではないと複雑な表情ながらも述べるアニス。
「そうですか・・・でしたらこれからの話は心してお聞きください、少なからず貴女の両親に対してのある意味の悪評とも言える悪癖について言いますので」
「悪評に悪癖・・・?」
「まず貴女自身がおっしゃっていましたが、お人好しが過ぎるところです・・・もっと分かりやすく言うなら、それこそ自分達を騙しているか騙してないかなど疑うこと無くお金を使うことにあります。その金額は私が把握しているだけでも、既に貴女方家族全員の月の給与を全て返済にあてながら暮らしたとしても数年単位ではまず返せない額へと膨れ上がっています。ですが・・・それはあくまで今の時点の話です。貴女の両親はお金を使ってほしいといった声が出たならすぐにその要望に答えようとしますから、この時にも借金をしている可能性は否定出来ません」
「っ・・・!」
その答えに前置きをした上で両親の悪癖、途方もない借金の件についてを話す孔明にアニスは一気に顔を青くする。
「・・・本来なら借金と言うものは一定の期間までにお金を返す事が前提の行為ですが、そんな金額を一括で返せるような資金など貴女方一家にあるはずがない。そんな中でその借金を肩代わりする代わりにスパイをする事が貴女にモースから突き付けられた、断れば即刻借金の返済をしなければならないという絶望的な状況と共に・・・だから貴女は断ることが出来なかった。モースの言葉を断れば一家の破滅が確実であったために」
「・・・はい、そうです・・・もうモースに頼る以外に、お金を返す方法はなかった・・・パパとママは皆いい人達だからお金は待ってくれる、大丈夫だって聞いてくれなかった・・・だからスパイになることを受け入れるしかなかったんです・・・」
更に続いた孔明からの借金の詳しい中身とモースの悪魔の誘惑についてに、アニスはうなだれて力なく肯定する以外に出来なかった。拒否をすれば一家共々どうなるかわからなくなる故に、拒否をしたくても出来ない無念を滲ませながら。
「・・・だからこそ私は貴女を引き取ったのですよ。確かに貴女の両親は敬虔なローレライ教団の信者で人柄もお人好しと呼べるくらいにはいいのですが、いかんせん言葉は悪いですが・・・人の気持ちを推し量り、正邪を見極めると言うことに長けていない。いえ、長けていないどころの話ではなく疑うことを教えられてないといった方がいいでしょう」
「え?・・・それ、間違ってませんか?疑うことを知らないなら聞いたことはあるけど教えられてないって、流石にパパとママでもそれはないと思うんですけど・・・」
だから引き取った、そう告げる孔明だがアニスはその表現の仕方に引っ掛かり疑問を投げ掛ける。教えられてない・・・普通の表現ではまず使わない表現を使われた事に。
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「・・・正直、今どういう気持ちを丞相にぶつけていいか分かりません・・・私を守ると言った言葉がどういう物なのか、その中身を詳しく聞かせてください・・・それで丞相の事を許すかどうか判断します・・・!」
「・・・えぇ、分かりました」
孔明も流石にその姿に策とは言え親子を引き剥がした事を謝罪し頭を下げるが、アニスが多少意気を戻して説明を力を持った言葉で求めてくる様子に承知と頷いて返す。
「ただその前にお聞きしますが、貴女は両親の行動についてをどのように思っていますか?そして両親の事を好きか嫌いか、どちらかで言うならどちらでしょうか?」
「え?・・・パパとママの行動に考えについては、止めてほしいと思ってます。そのせいで私はいつも苦労してきましたし・・・ただ、それでも好きか嫌いかどっちかって言われたら・・・嫌いじゃありません・・・お人好し過ぎて自分達の事は後に回すような二人だけど、それでも私にとっては優しい両親なので・・・」
だが答えるかと思いきや両親についてを聞いてきた孔明にポカンとしかけながらも自分の心の中を明かしていき、嫌いではないと複雑な表情ながらも述べるアニス。
「そうですか・・・でしたらこれからの話は心してお聞きください、少なからず貴女の両親に対してのある意味の悪評とも言える悪癖について言いますので」
「悪評に悪癖・・・?」
「まず貴女自身がおっしゃっていましたが、お人好しが過ぎるところです・・・もっと分かりやすく言うなら、それこそ自分達を騙しているか騙してないかなど疑うこと無くお金を使うことにあります。その金額は私が把握しているだけでも、既に貴女方家族全員の月の給与を全て返済にあてながら暮らしたとしても数年単位ではまず返せない額へと膨れ上がっています。ですが・・・それはあくまで今の時点の話です。貴女の両親はお金を使ってほしいといった声が出たならすぐにその要望に答えようとしますから、この時にも借金をしている可能性は否定出来ません」
「っ・・・!」
その答えに前置きをした上で両親の悪癖、途方もない借金の件についてを話す孔明にアニスは一気に顔を青くする。
「・・・本来なら借金と言うものは一定の期間までにお金を返す事が前提の行為ですが、そんな金額を一括で返せるような資金など貴女方一家にあるはずがない。そんな中でその借金を肩代わりする代わりにスパイをする事が貴女にモースから突き付けられた、断れば即刻借金の返済をしなければならないという絶望的な状況と共に・・・だから貴女は断ることが出来なかった。モースの言葉を断れば一家の破滅が確実であったために」
「・・・はい、そうです・・・もうモースに頼る以外に、お金を返す方法はなかった・・・パパとママは皆いい人達だからお金は待ってくれる、大丈夫だって聞いてくれなかった・・・だからスパイになることを受け入れるしかなかったんです・・・」
更に続いた孔明からの借金の詳しい中身とモースの悪魔の誘惑についてに、アニスはうなだれて力なく肯定する以外に出来なかった。拒否をすれば一家共々どうなるかわからなくなる故に、拒否をしたくても出来ない無念を滲ませながら。
「・・・だからこそ私は貴女を引き取ったのですよ。確かに貴女の両親は敬虔なローレライ教団の信者で人柄もお人好しと呼べるくらいにはいいのですが、いかんせん言葉は悪いですが・・・人の気持ちを推し量り、正邪を見極めると言うことに長けていない。いえ、長けていないどころの話ではなく疑うことを教えられてないといった方がいいでしょう」
「え?・・・それ、間違ってませんか?疑うことを知らないなら聞いたことはあるけど教えられてないって、流石にパパとママでもそれはないと思うんですけど・・・」
だから引き取った、そう告げる孔明だがアニスはその表現の仕方に引っ掛かり疑問を投げ掛ける。教えられてない・・・普通の表現ではまず使わない表現を使われた事に。
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