「・・・ふぅ・・・」
・・・時間はユーリとヒューバートに一先ずの別れを告げヴァンに会いに行った少し後、ルークは部屋に戻り疲れたように重い息を吐いた。
「・・・やっぱり師匠は変わってないよな・・・ローレライの介入がなかったから普通に師匠と話すことになったけど、あの時と師匠が言うことは全く同じだった・・・」
そうなる訳とはヴァンとの会話が以前を彷彿とさせるどころかルークが倒れる以外は全く同じだった為、ルーク自身が前と同じリアクションを取るように心がけていたためといってもである。
「・・・やっぱり師匠を止めるしかない、か。ティアが変わってたから少しはもしかしてって思ったんだけどな・・・」
そのまま一人ルークは呟く。ティアのようなもしもの可能性を感じられなかったが為に改めてヴァンを止めるとの決意を込めて。
‘ガチャッ’
「ん？」
「すみません・・・少しよろしいですか？」
「・・・何だ？俺に何か用か？」
と、そこに一人で申し訳なさそうに入室して声をかけてきたイオンに、ルークは用向きを問い掛ける。
「いえ、少し聞きにくい事を聞くためにお伺いしたのですが・・・ティアは一体、どうなるのでしょうか？」
「は？なんで俺にんなことを聞くんだよ？」
「・・・聞いていませんか？道中でのユーリさん達との話を・・・」
「っ・・・あぁ、あの事か・・・」
それで出された問いだがいきなりで曖昧な物にたまらずルークは訳が分からないと問い返すと、ユーリの名前を出されたことにルークもハッとしかけながらもその理由に思い至る。ティアの連行の件だと。
「・・・んで、なんでそれに俺がどうこうって話になんだよ？別に俺はなんも言ってねぇんだけど」
「いえ・・・もし貴方がその事でティアについて言ったら、彼女の立場が危うくなると思ってどうするのかと気になって・・・」
「ふ～ん・・・」
しかし物分かりの悪いフリをしながら何故と問えば、暗くうつむきティアが気になると漏らす姿にルークは無関心そうに声を上げる。
（どうしよう・・・気持ち的にはイオンやティアの味方をしたいってのはあるけど、今の俺が二人の味方をするのって無理があるんだよな・・・あんまりいい印象をティアに持ってないってのが、今の俺に対するイオン達のイメージだろうし・・・）
だがその内心は悩みを抱えていた、かばうべきかどうするべきかと天秤にかけながら。それで少し考えルークが出した答えは・・・
「・・・別に俺がどうこう言うつもりはねぇよ。それにそう言ったのは父上に叔父上達だろうから何か言いたいんならそっちに言ったらどうだ？」
「そう、ですか・・・」
（あ～、ちょっと気まずいけどこれが一番自然だよな・・・あんまりどうするかを決めるにしてもどっちかに寄ると面倒になりかねないし・・・）
・・・庇うでも拒否するでもなく、放置だった。
表向きは自分には関係無いとどうでもよさそうに言い放たれイオンは複雑そうに言葉を漏らすが、ルークの内心は非常に申し訳ないという気持ちで溢れていた。知ってて言っていることとはいえ・・・いや、知ってて言っているからこそだ。
（・・・あれ？となるとユーリ達の話を聞いてイオンがこうなってるってことは、イオンはティアを庇う気はないのか？イオンは師匠の時みたいにしそうな感じがすると思うんだけど・・・）
ふと、そこでルークは思う。悲しむという事はイオンは気丈にティアを擁護しないのかと。
「・・・なぁ、お前はどうするつもりなんだ？ティアとあいつらの話を聞いて、それでバチカルに着いたらよ」
「・・・それは、その・・・」
そのままルークが疑問をまっすぐに問い掛けると、イオンは非常に悩ましげに視線を下に向けてさ迷わせる。どう答えていいものかと考えているのだろう。









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