認知し、認知出来ないが故の距離
「・・・でもなんでいきなりそんなことを聞くんだ、ユーリ?」
「・・・いや、後ろ髪を引かれる想いって言うのか?ライマに戻ってから国を出るまで、そんな物が無かったのかって思ったんだよ。ナタリアに関しちゃ有り得ないってのはジュディ達からも聞いてたから、ならティアはどうかってな」
「後ろ髪を引かれる、か・・・それは全く無かったって言ったら嘘になる。けどそれはティア個人にって想いではなかったのは確かだ・・・俺はただ、皆と笑いあえるような関係でいたかった・・・ティアの事をそんな風に想ったことはないよ」
「・・・ふ~ん・・・」
ルークはそこで問いを向けてきた意図について気になったと問い返すと、ティアへの想いについての在り方が知りたかったとの返しに、あくまで『個人』としてではなく『団体の一部』としてだと苦くも笑みを見せユーリは目線を反らしながら声を上げる。
「・・・この流れと少し話は変わりますが、今度は僕が質問します。いいですか?」
「・・・なんだ、ヒューバート?」
「・・・こちらではともかくとしても、ルミナシアで貴方はアッシュさんの兄として生まれた身であるはず。それでアッシュさんとナタリアさんの仲を考えたからというのが先の行動の理由との事ですがそれを差し引いて考えたとして、兄としてこうあるべきという見本の姿をアッシュさんに見せようと思ったことはなかったのですか?」
「・・・兄として、か・・・」
そこに今度はヒューバートが真剣な眼差しで兄としての気構えを見せなかった理由について聞き、ルークは複雑そうに眉を寄せる。内容もあるが、批難が多大に含まれた強い言葉に。
「・・・それに関して言うと、前提条件として俺はまともな兄を演じる気は最初から全くなかったんだよ。それこそ俺とナタリアの事を聞かされた時からな」
「・・・元からそうすることを放棄していたということですか」
「・・・その通りだよ・・・何を言っても言い訳にしかならないのは分かってるけど、兄としてまともにやれるのかって思ってたのもあるし何より俺とナタリアの婚約をどうにか出来ないかって思ってたから・・・」
「・・・誉められた方法ではないというのは理解している上でそうしたのですね。それで批難も覚悟の上と・・・」
それでもルークも自分の気持ちを偽る事なく正直に苦悩を交えて語り、ヒューバートは眼鏡を押さえつつ意味深に言葉を切る。
「・・・僕の気持ちを正直に言えば、貴方の取った独善的な行動に関してはあまり感心は出来ませんでした。事実貴方はアドリビトムの皆さんを心配させましたし、ライマを混乱させました。それは誉められた事とは到底言えません」
「・・・それは、分かってる・・・」
「ですがここで貴方と話してみて思いました・・・貴方を放っておくような事はしたくないと」
「・・・え?」
少ししてヒューバートから出てきた自身への行動の批判の言葉にルークは暗くうなだれるが、まさかの言葉が続いたことに意外そうに視線を向けた。何故そうなるのかと。
「意外だと言いたそうですね。僕がこのような事を言うというのが」
「え・・・あ、まぁ・・・」
「気持ちは分からないでもないので、そう答えた理由をこちらも正直にお答えしますが・・・貴方の行動が少なからず似ていたからです。僕の実父の行動に」
「実父・・・っていうとオズウェルじゃなく、ラントの方か?」
「何故それを?」
「ジュディスがアスベルとヒューバートが兄弟って言ってたのを思い出したんだよ」
「そうですか・・・それならば話は早いですね」
ヒューバートもそれを理解して話を進める中で実父と兄弟関係の話に行き、ルークが知ってる事に真剣に話をと切り出す。
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「・・・いや、後ろ髪を引かれる想いって言うのか?ライマに戻ってから国を出るまで、そんな物が無かったのかって思ったんだよ。ナタリアに関しちゃ有り得ないってのはジュディ達からも聞いてたから、ならティアはどうかってな」
「後ろ髪を引かれる、か・・・それは全く無かったって言ったら嘘になる。けどそれはティア個人にって想いではなかったのは確かだ・・・俺はただ、皆と笑いあえるような関係でいたかった・・・ティアの事をそんな風に想ったことはないよ」
「・・・ふ~ん・・・」
ルークはそこで問いを向けてきた意図について気になったと問い返すと、ティアへの想いについての在り方が知りたかったとの返しに、あくまで『個人』としてではなく『団体の一部』としてだと苦くも笑みを見せユーリは目線を反らしながら声を上げる。
「・・・この流れと少し話は変わりますが、今度は僕が質問します。いいですか?」
「・・・なんだ、ヒューバート?」
「・・・こちらではともかくとしても、ルミナシアで貴方はアッシュさんの兄として生まれた身であるはず。それでアッシュさんとナタリアさんの仲を考えたからというのが先の行動の理由との事ですがそれを差し引いて考えたとして、兄としてこうあるべきという見本の姿をアッシュさんに見せようと思ったことはなかったのですか?」
「・・・兄として、か・・・」
そこに今度はヒューバートが真剣な眼差しで兄としての気構えを見せなかった理由について聞き、ルークは複雑そうに眉を寄せる。内容もあるが、批難が多大に含まれた強い言葉に。
「・・・それに関して言うと、前提条件として俺はまともな兄を演じる気は最初から全くなかったんだよ。それこそ俺とナタリアの事を聞かされた時からな」
「・・・元からそうすることを放棄していたということですか」
「・・・その通りだよ・・・何を言っても言い訳にしかならないのは分かってるけど、兄としてまともにやれるのかって思ってたのもあるし何より俺とナタリアの婚約をどうにか出来ないかって思ってたから・・・」
「・・・誉められた方法ではないというのは理解している上でそうしたのですね。それで批難も覚悟の上と・・・」
それでもルークも自分の気持ちを偽る事なく正直に苦悩を交えて語り、ヒューバートは眼鏡を押さえつつ意味深に言葉を切る。
「・・・僕の気持ちを正直に言えば、貴方の取った独善的な行動に関してはあまり感心は出来ませんでした。事実貴方はアドリビトムの皆さんを心配させましたし、ライマを混乱させました。それは誉められた事とは到底言えません」
「・・・それは、分かってる・・・」
「ですがここで貴方と話してみて思いました・・・貴方を放っておくような事はしたくないと」
「・・・え?」
少ししてヒューバートから出てきた自身への行動の批判の言葉にルークは暗くうなだれるが、まさかの言葉が続いたことに意外そうに視線を向けた。何故そうなるのかと。
「意外だと言いたそうですね。僕がこのような事を言うというのが」
「え・・・あ、まぁ・・・」
「気持ちは分からないでもないので、そう答えた理由をこちらも正直にお答えしますが・・・貴方の行動が少なからず似ていたからです。僕の実父の行動に」
「実父・・・っていうとオズウェルじゃなく、ラントの方か?」
「何故それを?」
「ジュディスがアスベルとヒューバートが兄弟って言ってたのを思い出したんだよ」
「そうですか・・・それならば話は早いですね」
ヒューバートもそれを理解して話を進める中で実父と兄弟関係の話に行き、ルークが知ってる事に真剣に話をと切り出す。
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