認知し、認知出来ないが故の距離
「・・・僕は残る」
「いいの、クレス君?」
「元々ルークを助けたいって思って僕はここに来たんだ。確かにゼロスの言ったようにルークの中に根付いてる物を取り払ったり改革するのは難しいかもしれない・・・でもだからこそ僕は今度こそ本当にルークと通じあって、本当の仲間になりたいんだ」
「・・・クレス君らしいね~、ホントまっすぐだわ~・・・」
そんな中でクレスが強く決意を見せる姿にゼロスは再度確認を向けるが、揺るぎなく真っ直ぐ自身の方を見てくる姿に苦笑気味に笑いながら首を横に振る。
「・・・ま、クレス君の答えを聞けただけでも満足したから俺はもう行くわ。最初からこっちに来るのはまずいって言われてメンバーから外されたことを愚痴ってたロイド君とかエステルちゃんをなだめに行かないといけないし」
「そうか・・・とはいえ二人を触発するようなことは言うなよ、ゼロス」
「分かってるって~、んじゃね~」
そこで他の面々の答えを聞かないまま後ろを向き歩き出すゼロスにユージーンが注意の言葉を向けると、明るい声でヒラヒラ頭の上で手を振りながら返事しつつ闇の中に消えていく。
「・・・さて、クレスはそうすると決めたようだが何も今この場で決める必要はないだろう。今日はもう戻るぞ。ティア達が起きていたなら不審がるだろうし一人で考える時間も必要だろうからな」
「・・・そうすっか。んじゃ戻ろうぜ」
ユージーンがそのまま場を納めるように戻ろうと口にすれば、ユーリも頷き一同は国境の方へと歩き出す・・・ユージーンもユーリも、他の面々も分かっているのだ。ゼロスの言葉とクレスの決意はルークへ生半可な介入をする事は許されない・・・そうするなら二人のように本気で介入するかどうかを考えるべきだと・・・
・・・そんな嵐のようなゼロスの来襲から一晩が空けた。
「「「「・・・」」」」
ヴァンも一行に加え港に向かうティア達。だが昨日まで周りを警戒しつつもある程度和気あいあいとしていたアドリビトムの面々が難しそうな顔をして沈黙しながら歩いていた為、ティア達もつられて沈黙しながら歩いていた。
(どうしたのかしら、一体・・・いえ、静かなら静かでいいわ。彼らの言葉など聞きたくないから・・・それより早くルークと合流したいわ・・・あのルークのわがままを矯正しないといけないから・・・)
ティアもその空気を感じてはいたが大したことではないとさりげに毒を漏らしつつ、さっさと意識をルークと合流した後へと向ける。身勝手で独善的以外何物でもない・・・そう言った意識を持ちながら・・・
・・・そんな沈黙に包まれながらも特にトラブルもなく港まで辿り着いた一同。だが港の入口に立ったティアはその光景に人目も気にせず眉を寄せた。
(・・・港が襲われてない?・・・どういう事かしら、これは・・・)
その理由とは以前ならアリエッタの襲撃で襲われていた港が全く損傷してないからなのだが、すぐに頭を振る。
(この程度なら誤差の範囲としておきましょう。同調フォンスロットを開かなければ有用な情報をアッシュから聞き出せないという欠点はあるけれど、そこは私が色々知ってる風にして振る舞えば先に進めるでしょうから・・・まぁアッシュの中から色々な光景を見聞きしてルークが変わったのだからそれに変わるような事を私から言わなければいけないでしょうけど、同調フォンスロットを開くと大爆発になる危険性も高くなる可能性が高いと大佐も言っていたからそこはよしとしましょう)
それから出てくる考えは前向きにこの異変を捉えようとするものだったが、その考えがいかに都合がよく自分本意な希望的観測に満ちているのか・・・それを一切考慮しないまま、ティアは先へと歩いていく。
(あっ、あれは・・・ルーク・・・!?)
そんな時にティアは見た。先に行ったと思われていたルークが、船の前でアルマンダインにジュディス達と共にいる光景を。
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「いいの、クレス君?」
「元々ルークを助けたいって思って僕はここに来たんだ。確かにゼロスの言ったようにルークの中に根付いてる物を取り払ったり改革するのは難しいかもしれない・・・でもだからこそ僕は今度こそ本当にルークと通じあって、本当の仲間になりたいんだ」
「・・・クレス君らしいね~、ホントまっすぐだわ~・・・」
そんな中でクレスが強く決意を見せる姿にゼロスは再度確認を向けるが、揺るぎなく真っ直ぐ自身の方を見てくる姿に苦笑気味に笑いながら首を横に振る。
「・・・ま、クレス君の答えを聞けただけでも満足したから俺はもう行くわ。最初からこっちに来るのはまずいって言われてメンバーから外されたことを愚痴ってたロイド君とかエステルちゃんをなだめに行かないといけないし」
「そうか・・・とはいえ二人を触発するようなことは言うなよ、ゼロス」
「分かってるって~、んじゃね~」
そこで他の面々の答えを聞かないまま後ろを向き歩き出すゼロスにユージーンが注意の言葉を向けると、明るい声でヒラヒラ頭の上で手を振りながら返事しつつ闇の中に消えていく。
「・・・さて、クレスはそうすると決めたようだが何も今この場で決める必要はないだろう。今日はもう戻るぞ。ティア達が起きていたなら不審がるだろうし一人で考える時間も必要だろうからな」
「・・・そうすっか。んじゃ戻ろうぜ」
ユージーンがそのまま場を納めるように戻ろうと口にすれば、ユーリも頷き一同は国境の方へと歩き出す・・・ユージーンもユーリも、他の面々も分かっているのだ。ゼロスの言葉とクレスの決意はルークへ生半可な介入をする事は許されない・・・そうするなら二人のように本気で介入するかどうかを考えるべきだと・・・
・・・そんな嵐のようなゼロスの来襲から一晩が空けた。
「「「「・・・」」」」
ヴァンも一行に加え港に向かうティア達。だが昨日まで周りを警戒しつつもある程度和気あいあいとしていたアドリビトムの面々が難しそうな顔をして沈黙しながら歩いていた為、ティア達もつられて沈黙しながら歩いていた。
(どうしたのかしら、一体・・・いえ、静かなら静かでいいわ。彼らの言葉など聞きたくないから・・・それより早くルークと合流したいわ・・・あのルークのわがままを矯正しないといけないから・・・)
ティアもその空気を感じてはいたが大したことではないとさりげに毒を漏らしつつ、さっさと意識をルークと合流した後へと向ける。身勝手で独善的以外何物でもない・・・そう言った意識を持ちながら・・・
・・・そんな沈黙に包まれながらも特にトラブルもなく港まで辿り着いた一同。だが港の入口に立ったティアはその光景に人目も気にせず眉を寄せた。
(・・・港が襲われてない?・・・どういう事かしら、これは・・・)
その理由とは以前ならアリエッタの襲撃で襲われていた港が全く損傷してないからなのだが、すぐに頭を振る。
(この程度なら誤差の範囲としておきましょう。同調フォンスロットを開かなければ有用な情報をアッシュから聞き出せないという欠点はあるけれど、そこは私が色々知ってる風にして振る舞えば先に進めるでしょうから・・・まぁアッシュの中から色々な光景を見聞きしてルークが変わったのだからそれに変わるような事を私から言わなければいけないでしょうけど、同調フォンスロットを開くと大爆発になる危険性も高くなる可能性が高いと大佐も言っていたからそこはよしとしましょう)
それから出てくる考えは前向きにこの異変を捉えようとするものだったが、その考えがいかに都合がよく自分本意な希望的観測に満ちているのか・・・それを一切考慮しないまま、ティアは先へと歩いていく。
(あっ、あれは・・・ルーク・・・!?)
そんな時にティアは見た。先に行ったと思われていたルークが、船の前でアルマンダインにジュディス達と共にいる光景を。
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