認知し、認知出来ないが故の距離

「つっても違う点はそんな難しい事じゃない。ロイド君だったら自分に向けられた好意や悪意に良くも悪くも明け透けに答えるだろうけど、ルーク君はそれが出来ないのよ」
「む・・・それは先程言った事とそこまで変わらないのではないのか?」
「さっきの補足みたいなもんなんだって思ってほしいんだけど・・・ロイド君はそれこそ本音を包み隠さず言うだろうけど、ルーク君は自分の本音を言わないというか言えないようになった。そりゃまぁ全く本音を言わない訳じゃなかっただろうけど、それでも周りに言っちゃいけないって思うことは極力言おうとしなくなった・・・あらかじめ言っとくと似てると思うけど違うもんだぜ?嫌だって思うことを心に秘めておく事と、自分の不安を周りに明かさないことはさ」
「っ!・・・それは、確かに違うな・・・」
ゼロスはいかにロイドとルークが違うのかを説明しユージーンは要領を得られないと首を傾げるが、その後に続いた言葉に苦々しく首を横に振る。似たようなニュアンスだが決定的な違いがあることを感じとり。
「まぁ昔のルーク君だったら嘘をついたり誤魔化したりなんて言うのは生きてて七年程度だから出来なかったんだろうけど、ルミナシアに来てから年月を重ねて色々学んで俺達も全く見抜けないような顔を身に付けたからあの結果になった・・・それでジュディス様達の言葉を聞いて俺も実際にルーク君に会ってみて感じたのはルーク君は基本的にロイド君達と同じでお人好しで人の事を信じるんだけど、自分の事を信じてほしいとは思ってない・・・もっと言うなら」



「自分の事は信じないでくれとすら思ってるんだってね」



「「「「!?」」」」
・・・そこで話を続けたゼロスだが、最後に出てきたまさかの言葉に一斉に一同は驚きに目を見開いた。ルークの考えを推測するにしても、あまりにルークにとっての自虐に過ぎるのではないかとの言葉に。
だがそう言う当の本人であるゼロスも苦々しいと思ってるのか影が落ちていて、他の面々も否定の言葉を出すことが出来なかった。
「・・・そこまでになるとさ、流石に俺様でも茶化してしまうことって出来ないわけよ。だってルーク君から出てくる言葉って自分が悪かったっていった感じの言葉ばっかりで、自分に自信を持ったものってなかったんだしさ」
「自分に自信がないって・・・なんでルークがそこまで思い詰めて・・・」
「その辺りは今話したようにアクゼリュスで背負った罪の意識にティアちゃん達からの低すぎる評価と、更にはルミナシアで自分が皆を騙してたって意識があるからだと思うね。まぁ細かいことも上げていくとキリがないけど、少なくとも前二つだけで自分に自信を無くすには十分でしょ」
「・・・だから自分を信じないで欲しいって、ルークが思ってるっていうのか・・・ゼロス・・・?」
「少なくとも俺様にジュディス様達はこの結論に至った。そしてだからこそ俺様達はルーク君に真摯に向き合うって決めたのよ。それがさっき信頼を向けているのとはちょっと違うって言った理由になるんだけどね」
「え・・・?」
首を横に振りつついかにルークの内心を捉えてるのかの推測を語るゼロスに、クレスは次第に力を無くしたように暗く言葉を漏らしていくが、先程までの負のオーラの漂う言葉が少し前向きな言葉になったことに戸惑う。









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