認知し、認知出来ないが故の距離

「・・・話を続けるが、これから先にアクゼリュスを皮切りにヴァン達が動き、それを止めるために動くつもりでいる。それは間違いないな?」
「・・・うん、それはそうだけど・・・ジュディス達にも聞いたけど大丈夫なのか?向こうでの生活もあるだろうし、リオンもウッドロウの所で色々忙しいんじゃないのか?」
「そちらについてはウッドロウを始めとしてあちらに残ったメンバーが僕達に関して対応してくれる。それに僕もウッドロウに頼まれた上でここにいるから、気にする必要はない」
「そうか・・・」
そんな空気を一新するようリオンが再び口を開くとルークは改めて大丈夫なのかと心配げに声を向けるが、ドライに返事を返す姿に安心したよう声を漏らす。
「・・・ねぇ、今更ながらに思うんだけどルークとリオンってアドリビトムにいる時って話したことあったっけ?なんか演技してた時の事を考えると二人は確実にぶつかったんじゃないかって思うけど・・・」
「あ~、それはなかったな。昔の俺の性格だとリオンと衝突するのは確実だし、かといってリオンの性格だと当てこすりかどうかは別にしても丁寧な態度を取られかねないって思ったからさ。だからリオンにはあんまり鉢合わせしないようにはしてたよ。気を使わせたらいけないって思ってたから」
「そうだったのかい・・・」
そんな姿にしいなが疑問を向ける、ルークとリオンの絡みについての記憶がないと。ルークはそんな声に気を使っていたと答えしいなは納得するが、そう聞いて眉をしかめたのは当のリオンである。
「・・・だからか。アスベルにフレンの二人に対し、僕に接触しなかった理由は・・・」
「・・・二人と比べたらいけないってわかってはいるんだけど、リオンに俺は気難しいって印象があったしぶつかったらぶつかったで後でティア達が色々言ってくるのも見えたしさ・・・だからあまりリオンとは接触しないようにってしてたんだけど、本当にごめん・・・二人も・・・」
「い、いえそのようなことは・・・」
国に仕える騎士、と言うには多少違うところがあるが二人と比較されて自分の事を判断された・・・不機嫌になるリオンにルークは申し訳ないと表情を曇らせ謝り、フレンはおろおろしてしまう。
「また話が反れたと思うのですが・・・」
「フフ、いいじゃない。どうせティア達が来るまでまだ時間があるのだから、何も今日中に全部終わらせる必要もないでしょう?」
「・・・そうですね」
すずがその光景にボソッと呟くがジュディスの微笑ましげな声と笑みにつられ、微笑を浮かべ同意する。















・・・ルーク達が前を思い出しつつ、前とは違う関係を築き始めている・・・そんな風に過ごす一方で時は過ぎ、翌日になったカイツールの国境にティア達は辿り着いていた。



(着いたわね、ここまで・・・兄さんにルークが共にいてくれると嬉しいのだけれど・・・)
国境の方に歩いていく中でティアは一人考えにふけりながら辺りを見渡す、ルークの存在についでにヴァンの存在を探しつつ。その姿には一応ルークとここで会える可能性もあるためか、多少不機嫌さも収まっていた。
「・・・む、無事だったかティア」
「っ・・・兄さん・・・(ルークは・・・いないのね・・・)」
そんな時に休憩所から出てきて笑顔を浮かべるヴァンに、ティアは複雑そうな表情を浮かべながら対する。内心はルークがいないことへの落胆を感じながら。
「導師もご無事でしたか」
「えぇ、ヴァン・・・」
「?・・・どうされたのですか、導師?」
続いてイオンに声をかけるがどうも浮かない様子で返事を返された事にヴァンは心配そうに声をかける。
「ちょいと気になるだろう事を俺が言ったもんでね。多分導師はその事を言うか迷ってんだろ」
「・・・君はルークの護衛をしてきたという、ギルドの人間か・・・それで君は何と言ったのだ、導師に?」
「っ・・・」
そんな声に答えを返したのはユーリだが、意味深な言葉にヴァンはユーリに答えを求める。何か言いたげだが言うのは少しはばかられる、そんなイオンの葛藤を見たが故に。
「何、簡単な事だ。その姉ちゃんがファブレを襲ったことについてファブレから何か、それも悪い事をあんたに言われてる可能性があるんじゃないかって言っただけだよ」
「「・・・っ!」」
しかしユーリから何気なく告げられた言葉に兄と妹の二人ともに驚愕を浮かべた。そんなことを聞くのかと。











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