if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 後編

「・・・まぁいい。ルークの方は取りあえずは大丈夫そうではあるし、後は余計なことにならないように気を張っておけばいいだろう。ただあいつらにルークとチャットの事を言えばどういった反応になるかだが・・・ライマから出させなければどうでもいいか。お祝いがとか実際に会って話がしたいとか言い出しそうではあるが、結果的にルークへの文句やら不満やらを口にするだろうから行かせんのは確実だがな」
その上でティア達についてはもう別に行かせる必要もないだろうとも言い切る。まずルークに会えば、結果的に悪意を簡単に口にしていくだろうからと。
「・・・後は適当な理由をつけて依頼とでも称し、ルーク達に内密に会えるようにして祝いの金やら品やらを渡すか。俺としても一度くらいは会っておきたいからな、チャットとやらに・・・」
ただ最後に自分だけはちゃっかりルークやチャットに会おうと、柔らかな笑顔を浮かべる。結ばれるだろう二人に対して文句などないどころか自ら祝福したいと思うが為に・・・


















・・・それでそれ以降はルークもそうだが再びアドリビトムにアッシュ達が関わることはなく、ルークの問題に関してはライマでは取り沙汰されることはなくなっていった。と言ってもそれはあくまで表に出ることはないだけで、裏ではこそこそとルークに戻ってきてほしいとの待望論が出ていた。これはアドリビトムに行けなかったアッシュの荒れ方が大きく関連しているのだが、この姿があったからこそルークの復帰論が公にならない方がいいとなった事は色々と皮肉である。

そしてティア達もまたアドリビトムに行けなかったことについてやルークに会えないことに不満を漏らしこそしたが、ヴァンにジェイド達による制止を受けたことに自分の立場を捨ててまでルークに会いに行く気概はなかったようで、グチグチ言いはするものの結局はそこどまりになった。

ただヴァンに関してだがやはりというか、以前に比べて物憂げな表情を浮かべることは多くなった・・・この事に周りの面々もその姿に心配の目を向けることが多かったが、以降に特に変わった行動は無かった・・・それこそオールドラントのヴァンのよう、大義名分を持った軍の蜂起をすることも。

こういった様々な事が絡み合い、以降はルークは特にライマと関わることもなく過ごしていった。



(・・・これが普通かどうかって言われると微妙ではあるだろうし、王族としての暮らしが駄目だったとかって言うつもりもないけど・・・今の暮らしの事を俺はすごく幸せだって思えるな・・・)
・・・バンエルティア号の甲板の上で風を浴びながら空を見上げるよう、目を閉じながら安らかな笑顔をルークは浮かべる。自分が確かな幸せを今感じていることに感謝をするように。
(ただどうなんだろうな・・・今ここにいるのが俺だったからアッシュが『ルーク』って存在を嫌わなかったのか、それともそう変わらなかったのか・・・それは分からないけど、こうして今自分が幸せだって思えてることを受け入れてそれに報いるべきだ・・・それが俺がこの『ルーク』になった責任だと思うから・・・)
「ルークさん、ご飯の時間ですよ~」
「あぁ、今行く」
そして決意を固める中で船の中から現れたチャットの言葉に、ルークは忌憚のない笑顔で答え中に向かう。自分の幸せを受け止め報いる為に、しっかりと生きていく為に・・・









END









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