if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 後編

・・・それでヴァンに聞きたいことは終わった為、ピオニーは部屋を退出させた。
「・・・ヴァンについてはどう判断していいか分からない部分も多いが、取り敢えず動かないと判断していいだろうしアッシュ達をなだめてはくれるだろう・・・後はルークにもう心配はいらんとでも連絡の手紙を送ればいいか」
ピオニーは一人になった所で取り敢えずは大丈夫だろうとの見解になり、部屋に備え付けてある机に向かう。ルークへの手紙を書くために・・・









・・・それで数日後、ピオニーの手紙はアドリビトムにいるルークの元へと届けられた。



「・・・ジェイドはともかく、師匠はどうなんだろう・・・やっぱりオールドラントの時の事を思い返すと、大丈夫だって自信を持って俺も言い切れないんだよな・・・陛下はオールドラントの師匠の事を知らないにしても、何か不穏な気配を感じたからこんな風に師匠に話をしたんだろうし・・・」
自分の使う部屋の中一人、ルークは手紙を手にして複雑そうに表情を歪める。ヴァンについて書かれた中身についてを見て。



・・・ルーク自身、ヴァンに対しての不信感はどうしても拭えなかった。以前の経験もそうだし、こちらでも何かしでかしそうな危うさをどこか感じていたために。

それでも師匠としてのヴァンに関しては、今も尊敬してはいる・・・ただ前の経験があることに加え、アッシュの事にライマから離れることを選んだルークはヴァンとの関係を深くすることを避けた。その為に前回ほどはあまり深くはヴァンについて接触はしていなかったし、今回はそんな時間もかけなかった為にそこまで自分が弟子だという自覚もなかった。

ただその自覚があくまで自分からしてのものだけで、ヴァンの気持ちがそうはないと知ったことはルークからして意外であった・・・あまり長く時間を共にしなかった自分に対し、そんな感情だったりをこちらのヴァンが感じていたのだということが。

そのこと自体は嬉しいというか、悪くはない気はルークの中にはある。かつてはレプリカと蔑まれ、捨てゴマとして扱われた身からすれば例え世界が違い肉体の違いがあるとは言えだ・・・だがそれも、今となっては複雑でしかなかった。もしかしたら今もヴァンは超振動だったり何かを狙う過程の上で、自分に気をかけていた可能性も否定出来ないという状態でしか今はない為に。



「・・・こればかりは本当に師匠が何もしないってことを信じるしかないか・・・俺がいなくなったことで色々と考えざるを得なくなって不穏な考えを止めたとか、そもそも何かするつもりなんか最初からなかったとかって形になることを祈って・・・」
・・・ピオニーの不安について別世界とは言え実体験しているからこそ、決して安穏とした考えをルークもまた持てない。だがそれでも何も起こしてないヴァンについてを事前にどうにかすることは出来ない、精々何もしないように祈るくらいしか・・・だからこそ切にルークは願いながら手紙を握り締める。ヴァンがルミナシアでもまた凶行に及ぶような事がないようにと・・・









・・・その後、ルークはライマ本国から送られてきた手紙の中身についてを仲間から聞かれることになったが、流石に中身が中身であることもそうだが自分の考えについてもそうそう答える訳にはいかないと思い、ある程度誤魔化しを入れた話で返した。ヴァンについて他の面々にいらぬ心配をかけさせないようにするために。

そうして話を進めたルークは特に疑われることなく、以降もアドリビトムに在籍を続けた。だが・・・在籍するルークとは対照的に再び予期せぬ形で集まった面々ではあるが、時が経つにつれて今度は本格的に故郷に腰を据えて帰ることになる面々が出始めた。









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