if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 後編

「・・・正直に申すなら、私は二人と共にいたいという気持ちはありはします。いえ、正確に言うなら・・・あったと言った方がよろしいでしょうか・・・」
「・・・過去形になったのは、何が理由だ?」
「・・・ルークがライマもそうですが、私の元から離れたからです」
「・・・離れたから?」
気持ちはあった、それを過去の物としたのはルークの行動・・・そう言うヴァンの言葉に、ピオニーは眉を寄せる。
「・・・私は、あの二人が常に私の傍らにあるものだと思っていました。二人の間の仲についてはともかくとしても、私の元から離れるはずはないと・・・ですが七年前にルークが私の元を離れると決めて姿を見せなくなった時から、そうではないのかという認識になりましたが・・・それがハッキリとした形になったと確定したと思えたのは、アドリビトム内で私に積極的に声をかけようとしなかったことです」
「・・・ルークの立場からもそうだが、お前の立場からしてもアッシュの事でどうにかというのは無理だと判断しての事だったんじゃないのか?何かその言い方だと少し違う気もするが・・・」
そのまま自分の気持ちを語るヴァンに対し、ピオニーはどういうことかと先を促す。何かヴァンの言葉がどこか要領を得ないというか、要点が分からないというように。
「・・・確かに私は二人の仲にと言うか、アッシュの気持ちをどうにかというような事を積極的にしなかったのは事実ではあります。ただルークから乞われたのなら私が間に入ろうかと思ってはいたのですが・・・アドリビトムにいる間にルークは私に頼ることはなく、結局はまともに言葉を交わした時間など数えるほどもないくらいにしかありませんでした。それもあちらからは私に話し掛けようとするような事もなく・・・」
「・・・その事が、お前にルークの事を諦めるきっかけを与えたとでも言うのか?」
「・・・ルークの事だけではなく、自分の思っていたような事ばかりが起きるわけではないとその時に考えもしたのです。と言ってもこれはあくまでもそういった感覚のようなものくらいでしかありませんが・・・すみません、どう説明するのか具体的に言葉が出てこないのです・・・」
「いや、いい・・・何となくはお前がどう感じているかは分かった気はするからな(・・・これで全て話したという感じにも思えんが、かといって嘘を話しているというのも違うとも思える・・・強いて言うならヴァン自身、未だに自分の考えがまとまってないことに戸惑っていると言うのが近いか・・・?)」
ヴァンはその理由についてを口にしていくのだが、普段の彼を少なからず知るピオニーからしてみてもハッキリとしないその様子に、それ以上はいいと制止をかけつつ内心で惑っているのかと感じた。決して演技をしているだとかそういった物ではなく、本心からルークに対して何か言い表せない物があるのだと。
「・・・取り敢えず聞きたいことは終わりと言いたかったが、この際もう一つ聞きたい。もしアドリビトムに行ってルークに会える、もしくはこちらにルークを呼びせれるとなったならお前はその言い表せない言葉の為にどちらかを選ぶか?」
「・・・そうしたいという気持ちがあることは否定は出来ませんが、陛下の決定に異を唱えるようなことは致しませんし私だけが行くとなればアッシュ達の非難が来るのは避けられないでしょうし、ルークもそれを望まないでしょうからね・・・」
「・・・分かった。そう言うのならそれで構わん」
そんなヴァンに改めてルークに会いたいかと問い掛けるピオニーだが、心残りはあれどもそうしないと言い切る様子にそっと頷いた。これ以上は質問しても意味はないだろうと。









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