if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 後編

「・・・お呼びでしょうか、陛下?」
「あぁ。時間が遅いから率直に聞くが、今のアッシュについてをお前はどう思っている?」
ヴァンは呼び出されたことに怪訝そうな表情を浮かべたが、ピオニーからの問い掛けに少し眉を複雑そうに歪める。
「・・・正直な気持ちを口にするなら、あまりよろしくないと言うしかありませんな・・・アドリビトムに行けず、それがルークが向こうにいるからと聞いてからか不機嫌さを一層強く滲ませるようになっています。そしてそれをどうにかすることは難しいかと思われます」
「・・・やはりお前でもそう思うか」
「はい。せめて一時的にでもどうにかアッシュの気持ちを落ち着かせようとするなら、あまり気は進みませんがルークをアドリビトムから出した上でアドリビトムに向かわせるべきかと思いますが」
「・・・一時的にでもなどと、そのようなことをさせるつもりはない。と言うよりそんなことをしたとしてもアドリビトムの者達がルークがいなくなったことへの喜びを嬉々と口にするアッシュの姿に不快を表すだろうし、ウッドロウやエステリーゼ達もまたアドリビトムに来ていると報告を受けている。その事を考えれば好き勝手振る舞えないアッシュの機嫌が良くなることなどないだろうし、もし好き勝手振る舞えばウッドロウ達と決定的な溝が出来かねん。そんな事態を認めることなど出来ん」
「成程・・・そう考えればアッシュをアドリビトムに戻すわけにはいきませんな・・・」
そこから自分の考えと共に打開策についても口にするヴァンだが、ピオニーが返していくダメだというその理由についてを聞いて一層眉を寄せる。そこまで聞かされては迂闊にアッシュをまたアドリビトムに行かせる訳にはいかないと。
「理由に納得してくれたなら何より、と言いたいが・・・こうして呼び出したお前にやってもらいたいのは、アッシュの行動の抑制だ」
「・・・私にアッシュの舵取りをしろというのですか?」
「自分で言うのもなんだが、どうせアッシュは命令以外で俺の言うことなど受け入れようとはせんだろうし俺は立場上あいつの近くにはあまりいることは出来ん。そう考えればまだ俺より信頼されているお前にある程度アッシュを大人しくしてもらうことは難しいにしても、怒りに満ちた行動を易々取ることないよう気を散らしてもらうしかない・・・やってくれるか?」
「・・・陛下がそうおっしゃるのであれば、尽力致します」
「あぁ、助かる」
その上でここに呼び出した本題は何かと話を進めるピオニーは、ヴァンの複雑そうながらも恭しくも頭を下げる様子に一つ頷く。
「それで、ご用は以上でしょうか?」
「・・・この場だから個人的な興味として一つ聞きたいことがある。出来れば腹を割って真剣に本音で答えてほしい」
「・・・何でしょうか?」
「お前がルークとアッシュの二人の剣の師として、ルークの時間はともかくとしても確かな関係を築いた事は知ってはいる。だからこそ聞きたいのだが、お前の本音としてはルークを呼び戻したいだとかアッシュと共にいたいだとか思わなかったのか?」
「・・・それはティア達のような気持ちを私が持っているのか、ということを確認したいのですか?」
「まぁそういった物だ」
そんな会話から終わりかを確認するヴァンだが、まだ話をしたいというピオニーの用件を聞く。二人についての本音が聞きたいとの言葉を。









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