if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 後編

「その質問に答えるためにも逆に聞くが、今のもそうだが未来のライマにルークが安寧を得られる居場所があると思うか?いずれアッシュが実権を握ることになり、貴族達も余程でなければアッシュに楯突くこともないだろう状況でだ」
「・・・率直に申し上げて、ルークが安心出来る要素などないでしょうね。アドリビトムでのアッシュの様子から考えて、ルークに対して優しく接することが出来るなどとまず言えませんし周りも苦言を呈するなどそうは出来ないでしょう。特にナタリアは悲し気に顔を歪めはするでしょうが、結局は止めることはしないでしょうね」
「そうなるだろうな・・・本来なら王族として生まれ落ちたからには、王族として死ぬことが正しいとでも言われるのが普通ではあるだろう。だが俺はルークがそんな目に合うことなど望んではいないし、そんな針の筵のような所を居場所にさせるつもりはない。だがその針の筵を提供する側のアッシュ達はナタリアの気持ち云々は置いておいて、自分達は文句や異論など受け付けるような立場にはないところで悠々と安全な居場所を確保している・・・そんなことになるというのに、この期に及んでまた自分達があそこに行きたいというだけでまたルークの事を考えないばかりか、アッシュならあの屑がどこか別の所に行けばいいことだなどと宣うことだろう・・・そういった状況になる可能性が高いと分かっているのに、何故またルークが居場所を奪われるような事になるのを許可しなければならんのだ・・・あいつの一方的な感情や気持ちの押し付けを優先させるためになど・・・!」
「っ・・・!」
・・・ジェイド自身、初めて見たそのピオニーの姿にたまらず息を呑んだ。話し掛けるような中身から一転して段々と独白染みていく言葉と表情は、ルークの居場所を奪わんとするアッシュ達に対する怒りに溢れんばかりの物を抑えるのに変わっていった為に。
「・・・ジェイド。お前が俺のようにルークへの気持ちを抱けんのは分かるし、そう言ったことは期待はしない。お前の性格に考え方については長年の付き合いで把握しているからな・・・だからこそこういった言い方をさせてもらうが、命令だ。アッシュやナタリア達の要望を聞くことなく、以降はあいつらが何を言ってもライマに残るように言い続けろ。いいな?」
「・・・それは構わないのですが・・・命令、なのですね。頼みではなく・・・」
「言ったろう、俺とお前では色々と違うと。そしてお前は余程の事があっても俺と同じような考え方や気持ちを共有する事はそうそうないと見ての事だ・・・だがそんなお前は心情的には俺の味方にはならなくとも、俺の言うことには余程でなければ従ってくれることも分かっている。だからこそだ・・・アッシュ達の事に関しては命令と割り切り動け。その方がお前も楽な筈だ・・・いいな?」
「・・・分かりました、そうさせていただきます・・・」
それで少し落ち着いたピオニーがジェイドにこういうように動けと話を進めるのだが、その中身に複雑といった様子を盛大に滲ませながら頷いて返す。理解はされているし頼りにもされてはいるが、だからこそ突き放すような態度に感じるピオニーの言葉を受け入れがたいといったように・・・









.
23/31ページ
スキ