「それに陛下の独断で決めたことだという考えが引っ掛かるかもしれませんが、その独断も裏を返せばその責任の追求を陛下・・・ついでに言うならルークにすることが出来ます。ここは私達が下手に動くより、陛下達の判断だからと動かない事を選択することが懸命だと思いますよ」
「・・・そういうことなら、分かりました・・・」
「「「「っ・・・」」」」
それでジェイドの続けた言葉にどこか納得していないようながらも頷いたティアだったが、ルークにライマ陣を除いた面々に多少の違いはあれど表情に険を滲ませた。
「・・・ではルーク君の事については一先ずはここでは何もしないということに落ち着かせるでいい、と締めくくりたいところだがまだ問題は残っている・・・それはルーク君にここに残るか否かを改めて決めてもらうこともそうだが、もしどちらにしてもアッシュ君にはルーク君の事について悪く言うのを止めてもらいたいと思っている」
「え・・・？」
「何だと・・・？」
少しピリッとした空気が流れている中でウッドロウが会話の流れをまとめるように話を進めるのだが、その中身にルークもそうだがアッシュも怪訝そうに視線を向ける。何故そこでアッシュがルークを悪く言うのを止めるように言うのかと。
「・・・どういうことかと思っているだろうが、ピオニー陛下から先程言ったような中身の手紙が来た以上はルーク君は一応はもうライマの王族ではないしライマに所属しているとも言えない身だ。そんな彼の身分は血筋としては王族に連なってはいても、今は一般市民と同じ物だと言えるだろう・・・そんな彼に対して例え自分の兄弟であり気に食わないからとは言え、王族が執拗に民を気に食わないと怒鳴り散らすような事など本来は絶対に有り得てはならないことだ」
「なっ・・・！？」
「君からしてルーク君が相手だからやっていることだとか、こいつ相手なら許されるんだといったような言い分はあるだろう・・・だが君はルーク君とライマに共に戻ることを拒否をしたし、王族に戻ることなど望んでもいないのだろう？」
「そ、それはそうだが・・・」
「なら彼の立場を考えれば、君が今見せたような怒りやら激情やらをルーク君にぶつけることは王族としては極めてみっともないことになる。そしてそれが君自身が認めた物であるなら尚更にだし、こそこそと本人に聞こえないようにでも言おう物ならそれこそ自身の醜聞を自身でばら蒔くに等しい行動だが・・・何より、私が君を見損なう事になる」
「っ！？」
・・・ウッドロウの柔らかな言葉遣いとは裏腹に、鋭い視線とその話の中身にアッシュはたまらず怯んでしまった。ウッドロウの考えを聞いたこともそうだが、ウッドロウに見損なわれてしまうという可能性を感じて。
「・・・私からすればルーク君との事があるとは言え、君の事は立場や年齢が違っていても友人のような存在だと思っている。だが今の私の話を聞いて尚そのようなことを平気で君が出来ると言うのであれば、私は君とのつきあい方を改めたいと思っている・・・気に入らない、受け入れられない人物がいるのはある程度は仕方のない事ではある。しかし言い方は悪いが将来的に国王となると見込まれる人物が民を相手にそんなことを平気で出来ると言うのであれば、私は君を以降は友人としては見れなくなるだろう。それでもルーク君に怒りをぶつけなじると言うのであれば、それまでだがね」
「ぐっ・・・ぐうぅっ・・・！」
そしていかに自分が本気であるかに加えて王になるならと自覚までもを問うようなウッドロウの言葉に、アッシュは今までになく言葉を詰まらせる。
(・・・一応はウッドロウはここでは次代の王になる可能性が高いとは言ってはいないけど、アッシュは知ってるからこそどうしようって思ってるのもあるんだろうな・・・)
その光景にアッシュが強気で返せない理由を内心でルークは考える・・・とある国の次代の王と目されるウッドロウに、自分の意地だけでハッキリ絶縁を叩き付けるなど流石にアッシュと言えども難しいのだろうと。









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