if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 後編

「・・・とにかく、この書状が陛下から送られてきた以上はもうルーク君に対してライマの人物からの強制力はないどころか、下手に命令を下すような事をすればむしろ君達の方がピオニー陛下よりお叱りを受ける立場になるだろう」
「お待ちになって!そんな事が認められる筈がありませんわ!いかにピオニー陛下とは言え今までルークの事を黙っていたのに、そんなことを貴族が易々と認める筈がありませんわ!」
「そう言えば確かに・・・貴族に話を通してもいないのに、そんなことを認めるとはとても・・・」
ただそれでもとウッドロウがルークの立場についてを進めようとするが、異論を唱えてきたナタリアの勢いのいい声にティアも理解をする。そんな簡単にいく筈がないし、勝手に決めたことで事を進めていいわけがないと。
「・・・んじゃ、それで仮にルークがそうなるのを認めないとしてだ・・・お前ら二人もそうだが他の奴らにも聞くけど、それでルークがライマに戻って問題が無いなんて今のこいつらの関係を見てそう自信を持って言えるか?」
「「「「っ・・・」」」」
「そ・・・それは・・・」
だがそんな流れにユーリが戻った場合の仮定についてを問うと、周囲の面々は一斉に息に詰まってナタリアも言葉を詰まらせる。決して大丈夫だなどと到底言えない二人のやり取りについてを思い出させられる形で。
「ユーリ・・・それは・・・」
「いいから言わせろ、エステル・・・俺から言わせりゃライマの王族の問題についてここであーだこーだ揉めるような事なんざ望んじゃいないし、そもそもそうじゃなくても揉め事なんかめんどくさいから起きてほしくもないと思ってる。だから俺としちゃこの問題についてはもうルークの事について深く掘り下げんのは止めて、ピオニーって人の手紙の通りにしてほしいんだよ。その方が収まりもいいだろうと思うしな」
「で、ですがそれは・・・」
「あんたがそう言うのは勝手と、そう言いたいが・・・それで諦められないのはあんたが王族としてちゃんとした決まりに従わないといけないと思ってか、それとも二人の仲かルークの事をどうにかしたいと個人的に思ってか・・・どっちだ?」
「・・・それ、は・・・その・・・」
エステルがそんなユーリをたしなめようとするが構わず話を続けていくその中身に、ナタリアはハッキリした言葉を口に出来ずに視線を逸らす。個人か公的か、それすらも言えないというように。
「それにだ・・・それでもルークを元に戻すべきだとかって言うんなら、少なくともライマに所属している奴らは責任を取るべきだと思うがね。ルークの立場って奴は話に聞く限りじゃあんまりライマの貴族達にいい顔をされる筈がないって事らしいが、それでも戻るべきだってだってんならアッシュの事も含めて自分がどうにかするだとか支えるだとかの決意をしてな」
「なっ・・・何でそんなこと・・・!」
「ルークはアッシュとの事についてを諦めることも含めて王位継承権ってヤツを捨ててまで動くことを決めた。それがどれだけ重いことかってのは俺には分からないが、それでもそういったことを覚悟して離れるって決意したってことは事実だろ?なのにそんなことは知らないって無理矢理本人を元に戻すだけ戻しといて、後は自分は知らないし戻ったのは自分の責任だって言っときながら貴族達や軍のお偉方からお褒めの言葉をいただくだけいただく・・・なんてのは無責任とかそんなんじゃなく、単純に人としてどうかと思うぜ。戻る気のない奴を売るだけ売って、自分は利益だけを得ている奴になるってことになるんだからな」
「・・・っ!」
次にユーリはあくまでもライマ側・・・と言うか明らかに対象をティアに絞ってルークの手助けをしないならと話を進めていき、ティアは苦い表情で唇を噛んだ。明らかに人としてろくでもない人物になる・・・そう聞かされてはプライドの高いティアとしては耐え難い物だった為に。









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