認知し、認知出来ないが故の距離

「見えたわね、港が」
「・・・」
近くに見えるカイツールの軍港の姿にジュディスが改めて港だと口にするが、ルークの表情はあまり浮かない物となっている。そしてそうなっているわけは国境で二人になって戻る時にまで遡る・・・






「・・・あぁそう。言い忘れていた事があったから戻る前に言っておくけれど、港には私達以外のアドリビトムのメンバーが何人かいるわ」
「はっ!?どういうこと!?」
「言ったでしょう。アドリビトムのメンバーは半分はこちらに来ていると。それでティア達の所にいるクレス達を含めて半分に達したと思う?その数は」
「・・・っ!」
「ただ残り全員が来るということはないと思うから何人かだけと思っておいてね、ルーク?」






・・・という会話があったわけである。この話をされた時にルークは自分の迂闊さを理解した。そう言った可能性を全く考えていなかったことに。そして相当に気が重くもなっていた。他のアドリビトムのメンバーに会うこと・・・特にロイドに会うかもしれないと思うと・・・









「・・・お待ちしていました、ルーク様!」
「っ・・・誰だよ、お前いきなり・・・?」
・・・そんな気持ちのままに港の入口まで来てみれば、そこにいたのは先頭でホッとしたよう満面の笑みを浮かべ近付いてくるフレン。後ろにはリオンにフィリアにミントにアスベルにゼロス・・・そしてルークはルミナシアの時に顔を合わせていなかったが、アニー達の知り合いのヒルダという面子がいた。
だが今のルークはそのフレン達に素で向かい合うわけにはいかないため、怪しい物を見るように体を引かせる。
「・・・ごめんなさい、少し時間をいただけるかしら?事情を説明させてもらうから」
「・・・ちっ、しゃあねぇな。さっさとしろよ(まぁフレン達にも事情を知ってもらわないと、変なことになりかねないしな)」
ジュディスがそんな二人の間に入って説明をと言い出すが、その両者を見る目配せにルークは頭をかきながらそっぽを向いて少し場を離れていく。言葉悪く許可したが、内心で必要な事だと思いつつ。現に場を離れる理由も自分に付いてくるミュウに話を聞かれまいとするためだ。
(・・・変わってないな、フレンも他の皆も・・・俺の為にここまで来るってのは嬉しくはあるんだけど、やっぱ気が引けるよな・・・ただリオンまで来たってのがちょっと意外って言えば意外なんだよな、ホントに・・・)
それで程よく距離を取ったルークは一人考え込む。自分の為に皆が来たことについて改めて気分を落とす形で。









「・・・お待たせ」
「やっとかよ・・・話は済んだのか?」
「えぇ、後で少し時間を取ってくれればいいわ。私達も出来ることがあれば手伝うから」
「手伝うからってなんなんだっつーの・・・(ミュウの面倒の事か・・・まぁ今の状況じゃ仕方無いか・・・)」
・・・少しして話を終えた後ろからジュディスが声をかけてきたことに振り向きつつ憮然としながら対応すると、ルークはまた意味深に告げられた言葉に内心でその意味を察知する。ミュウの事だと。
「・・・まぁどうでもいいや。とっとと行こうぜ、港は目の前なんだしよ」
「えぇ、そうね。行きましょう」
そんな会話を自身で打ち切りながら行こうとルークが言えばジュディスはすんなりと頷き、一同は港へと歩いていく・・・







・・・そして距離がなかったこともあり、すぐに港に入ったルーク達。
(・・・アリエッタはまだここを襲ってきてないよな・・・神託の盾はまだイオン達の事を追ってるみたいだし、そもそもアッシュが俺の存在に気付いてるかも先に行ってるのを知ってるのかも分かんないけど、この調子なら同調フォンスロットを開く為に港を襲わせるような事はしないって思うけど・・・一応心構えはしておこう。どうなってもいいように・・・!)
ルークは港を歩く中で考える、アリエッタが港を襲う可能性についてと・・・もしそうなったなら戦う事を躊躇わないと・・・









7/27ページ
スキ