if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 後編

「・・・それに手紙の中身からして、アッシュの俺に対する気持ちは変わってないって師匠は見てるってある・・・今のアッシュと会うってなったら前の時みたいになる、か・・・」
その上でアッシュの考え方が変わってないという中身に、より一層ルークは苦い面持ちになる。言葉にこそはしないが、今の自分はオールドラントでの時と同じ年頃の姿でいて当時の関係のようになるのではと感じた為に。
「・・・やっぱりここから出ていく、か・・・陛下はジェイドにフォローを頼めばいいとかって書いてはくれてるけれど、ジェイドが俺の為に本気で動くってなるとナタリアの立場がどうなるかってなるし・・・一応は俺がアドリビトムから出るって選択肢は受け入れるつもりじゃあるって書いてくれてるしな・・・」
そこまで来てルークの中で出てきた結論はやはりと言うべきか、無理に手伝ってもらってまでアドリビトムにいようとすることではなく、自分がここを出るという物だった・・・ルーク自身もピオニーも望んではいないが、無理にいようとしても破綻する未来しかない・・・どちらもそう感じた為に。



「・・・っ!」
「あっ・・・!」
・・・それで手早く荷物の整理を済ませてアドリビトム代表のアンジュの元でギルドからの脱退及びバンエルティア号からの下船をしようとしたルークだったが、そこにいたアッシュと鉢合わせをしたことにより両者の間で妙な緊迫感が生まれた。
と言っても同質の緊迫感ではなくアッシュは瞬時に敵を見付けたとばかりの緊迫感で、ルークはそんなアッシュを見ての警戒心にも似た反応による緊迫感である。
「・・・久し振り、だなルーク。お前もここに所属しているとは聞いていたが・・・」
「・・・はい、お久し振りです・・・」
「おいヴァンてめぇ、まさかここにこの屑がいるって知っててここに来たってのか・・・?」
「・・・その通りだが、同時にここにはナタリア様もいる。それにこのギルドは他の場所に比べれば、断然に安全ではある・・・そう考え、あえてお前には何も言わずにおいたのだ。行く前から怒られることもそうだが、何より絶対に行かないなどとごねられる事もあると思ったのでな」
「・・・チッ・・・」
その空気にアッシュの横にいたヴァンが間に入るようにルークに声をかけ、その様子を見たアッシュが不機嫌さを滲ませながら言葉を口にして行くが、返ってきた返答にただ舌打ちをするに留める。
「それより、どうしたのかしらルーク・・・いきなりここに来て・・・?」
「あ・・・簡単に言うけど、ここを抜けたい。だからここを、降ろしてくれ」
「えっ・・・!?」
それで次にアンジュがどうしたのかとルークに用向きを問うが、ハッとした後に真剣な様子で本題を切り出された事に驚きを浮かべた。何故いきなりそんなことを言うのかと。
「フン・・・いきなり何を言い出すのかと思えば、ここを抜けるだと?ハッ、また逃げやがるつもりか!この臆病者が!」
「待ってアッシュ・・・ルークが臆病者ってどういうこと?」
「ハッ、こいつのことだからなにもかも言わねぇままにのうのうとここにいやがったんだろう・・・なら教えてやるが、この屑は自分が王族って立場にいるにも関わらずその責任から逃げやがったんだよ!それも7年の間、全くライマの中で姿を見せねぇ形でだ!」
「えっ・・・!?」
その様子を嘲るようにルークへ言葉をぶつけるアッシュにアンジュはどういうことかと聞き、得意満面な笑みから出てきたその答えにアンジュは絶句した。まさかそんなことだとはアンジュは考えていなかった為に。



(そうか・・・アッシュはそんな風に考えてるってことか・・・)
そんなアッシュの様子に、ルークは内心で辛さを覚えつつも認識する。アッシュはこういう捉え方をしているのだと。









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