if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 後編

「・・・分かった。すぐにって訳にはいかないけど、どうするかに関しては話はするようにする。だから今はちょっと一人にしてくれないか・・・?」
「ルーク・・・あぁ、分かったよ・・・」
対するルークは悲し気な様子になりながら一人にしてほしいと切り出し、その様子に何か言いたげではあったがクレスは頷いてユーリと共に場から立ち去っていった。
(話すかここから出るか、か・・・ユーリの言葉通りなら他の皆も同じじゃないにしても近い考えは持っていてもおかしくはないってことだし、ユーリ達だけに話をしてそれではいおしまいなんて出来るはずは無いってことになる・・・けれどある程度取り繕って当たり障りない話をするにしたって、ここを簡単に出るわけにはいかないナタリア達の事を考えるとあまり説明すると色々とあっちの立場がまずくなる事も有り得る・・・そう考えるとやっぱり、俺が出ていった方が丸く収まる・・・か・・・)
そして一人になった場で考えに集中するルークだが、一番マシな結論はユーリに言われたようにアドリビトムから出ていく事であった。だが・・・
(・・・出ていきたくない・・・本当に居心地いいとこだから、尚更にそう思ってしまう・・・けどそうしないと、皆にまた迷惑をかけてしまう・・・)
・・・どうしてもこのアドリビトムという場所に対し、惜別の念に悲しさが拭いきれずに現れてしまう。
どうにか言葉にはせずに済ませているが、ルークの心にはどうしようもない程に辛さが押し寄せてきていた。アドリビトムという場に他のメンバーより強く愛着を感じているからこそ、離れたくないという気持ちが強まっていく為に・・・


















・・・そんなルークはウッドロウにだけは事情を説明しなければならないと思いクレス達との事についてを内密に話をしたのだが、流石に結論を急ぎすぎだというように言われたことやピオニー陛下への報告をして返事を待ってから選択をした方がいいと言われたことで、即座のアドリビトムの離脱はしないと決めた。

それでウッドロウの勧め通りにルークはピオニーへと手紙を送り返答を待つまではまだアドリビトムを出ないようにしようと、ギルドの一員として活動をしていった。時折顔を合わせるナタリア達に他の面々との気まずさを拭えぬままにだ。

・・・そしてそんな状況が一変するような報せがルークの元に届いた。だがその一変と言うのはルークにとっていい方向に転ぶものではなく、最悪な方向に転ぶものだった・・・



「・・・アッシュが、師匠と共にアドリビトムに来る・・・!?」
・・・自分の部屋の中、ルークは一人でピオニーから送られてきた手紙の内容に愕然としていた。ヴァンもそうだが、アッシュまでもがこのアドリビトムに来るなどという事態になるとは思っていなかった為に。
「手紙の中には俺がここにいるのもあって、ライマに戻らない方がいいって言われて、それをピオニー陛下は止めることが出来なくなってって書いてあるけど・・・止めようとするだけでも大変だったんだろうな、陛下・・・俺に対して謝りの言葉を書いてるけど、今のライマの状況から考えると仕方ないんだとは思うだよ・・・そう選択せざるを得ないっていう状況は・・・」
だがルークはその手紙のピオニーの苦心と謝意が感じられる中身の部分を受け、決してピオニーを責めようという気にはなれなかった。今のライマが少なからずどういう状況であり、ピオニーがルークを守ろうにもそれがいかに難しいか・・・遠く離れたこのアドリビトムからでも今のルークなら、それが少なからず理解出来る為に。









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