if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 後編

「・・・あのさ、少し聞いてもいいかい?」
「・・・何だ?」
そんなクレスだったが、少しして意を決したように話を切り出してきたことにルークも何かと問う。
「・・・どうして自分の立場を知らせずにって言うのもそうだけど、一人で旅をしてたんだ?あまり僕は国の偉い人達の事に詳しくはないけれど、そういう人が一人で旅をするのはまず有り得ないって思うんだけれど・・・」
「あ~っと、それは・・・その・・・」
「その話は俺も興味があるな」
「ユーリ・・・!?」
そんなクレスが口にしたのは何故一人で旅をしていたのかについてでどう答えるべきか迷っていたルークだったが、船内から現れて来たユーリの姿に驚きを浮かべる。
「ユーリ・・・話を聞いてたのかい?」
「何かクレスがやたら動き回ってるのを見たもんでね。気になったから様子を見に来たらそういうことかって納得したんだが・・・同時に是非とも俺にもその話、聞かせてもらいたいとも思ってね」
「あ~・・・言わなきゃ、ダメか?・・・出来るならあんまり話したくない類いの物だってこともそうだけど、言い触らして欲しくもない事なんだよ・・・」
「それはライマの奴ら・・・特にあのお姫様に聞かれたくないって意味か?」
「・・・まぁ、そうなる・・・」
その登場に若干非難めかせた響きでクレスが声を向けるが全く悪びれないどころかむしろ楽し気に話を進めていくユーリに、ルークは重い空気を滲ませつつ話すことに関してを知りごむ様子を見せる。
「・・・それだけ言いにくい事情があるのかい?」
「・・・言葉にするだけなら簡単じゃある。けどそれを言うには色々と複雑だってのも事実なんだ・・・出来るなら言いたくはないけど、それでも聞きたいって言うのは出来れば勘弁してほしいんだよ。俺としては・・・」
「ルーク・・・」
クレスがその重さを察するような声をかけるとルークが肯定しつつ苦い気持ちを滲ませるような言葉で返した為、苦々しげな表情を浮かべる。
「・・・分かった。今のところはこれ以上は聞かないでおいてやる。その代わり今の状況が続くのもそうだが、これ以上悪くなるってんなら事情についてを説明するか・・・ここを出ていくかだろうな」
「っ!?」
「ユーリ!?それは酷いんじゃないか!?」
ユーリはその姿に妥協といった言葉をかけるがその中身にルークは体をビクリと揺るがし、クレスはたまらず非難の言葉を向ける。ルークに出ていけと言わんばかりの内容と取れる為に。
「・・・勘違いするなよ、クレス。別に俺はルークに出ていってもらいたいなんて言ってる訳じゃない。だけど今の状況であのお姫様達はルークの為にここを出るなんて言うことは出来ないし、出るはずもないんだろ?話を聞いた感じだとよ」
「・・・それは・・・」
「そう考えりゃ今の様子が続くか今より悪くなるってんなら、俺らにも当然そのあおりってヤツが来る。ただお姫様達はその理由ってのを口にしたくないのか、本当に知らないのかはともかく言おうとはしない・・・そんな状況で俺一人が我慢するなんて言ったところで、いずれ他の奴からも不満は出てくる。それを避けたいんなら、どっちかしないといけないってことだ。今の状態をどうにかするにはな」
「・・・そんな・・・」
ユーリはそんなクレスにその発言についての補足を入れるのだが、その中身に呆然としたようになりながらも受け入れざるを得なかった。大袈裟とは決して言い切れないユーリのその予測の言葉に。









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