if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 前編
「・・・取り敢えずそう言うことなら大丈夫だと考えて話を進めるが、出来るなら自分がどうしているのかの経過に報告の手紙をくれ。勿論城に直接送れば検閲が入り余計な勘繰りやら行動が入るだろうから、この屋敷に送る形でだ。そして俺もお前にこちらの近況を伝えれる所にいるというのであれば、別人名義ででも手紙を送ろう」
「はい、手紙は送らせていただきます・・・何から何まで心配してくださって本当に申し訳ありません」
「だから気にするなと言ったろう・・・さぁ、名残惜しいが出発したいというのにあまり長引くような事をするのも良くないだろう。せめて屋敷の外まで見送ろう」
「ありがとうございます、陛下」
それでピオニーが手紙の事を口にした後に出発した方がいいだろうと言い、ルークは頭を下げる。手厚い心にせめて礼を言うように。
・・・それで屋敷の入口の前で使用人やメイドに兵達、そしてピオニーな並ぶ姿を前にしたルークは感謝の意を頭を下げて告げた上で屋敷を後にしていった。立つ鳥後を濁さずというよう、涙の溢れる顔を見せないようにする形で。
(行った、か・・・本当に惜しいな。あいつならアッシュより余程いい王になれると思うんだがな・・・確かに王族としては甘さが残る面は否定はしないが、少なくともアッシュよりは人間的に魅力はある・・・あの人間臭い魅力がな)
それでピオニーはルークの見えなくなったその先を見ながら、ルークに対する想いを心の中で漏らす。次期の王にしたかったと、その魅力についてを感じる形で。
(現にこの屋敷の奴らが全員ルークについての印象が良かったのがいい証拠だ・・・勿論王族や貴族相手に馬鹿正直に相手が気に入らんだとか言うような奴はそうそういないが、そういった気を使ってだとか体面で取り繕っていったような物はなかった)
そしてその魅力が屋敷の人間にも伝わっていたと、ピオニーはあらかじめ聞いていた反応から再び思い返す・・・王族として生まれ育って王となって過ごした濃密な時間から、本心から言葉を口にしているかどうかの見極めの力くらいはピオニーには付いていた。その為に世辞や本音隠しの言葉の抜きにルークの事を誉めていたことも分かる為に。
(それに比べてやはりアッシュの方はどうにもな・・・ルークには今のところはまだ大きな問題になってないとは言ったが、寛容性が無いのはどうしても目立つようになってきた・・・貴族として厳粛に努めているという様子になっていると言えばそれまでとも捉えることも出来るが、あまりにも他者に対して気を許さなすぎだ・・・双子としてその性質が似ないようにと真逆になったのか、それともアッシュが意識してあぁなったのかは知らんがな・・・)
それで対比する形でアッシュについてを思い返すピオニーは、その態度の激しさについてを。
・・・貴族や王族としての自覚があることを悪いと言うつもりはピオニーにはない。自分はそうであると強く自覚し、そうあろうと動いていないということもあって尚更にだ。
だがアッシュはそうあろうとしているのだろうか、それともただ単にルークの見せていたような笑顔が気に入らなかったからか・・・アッシュは人前に出る時は笑顔など浮かべることなく、厳めしい表情ばかりを浮かべていた。
その姿を見てきたピオニーは一度軽く少しは肩と顔の力を抜いたらどうだとアッシュに言ってみたことがあったが、そんなこと出来るはずがないと立場の違いを出されて返された。
その事に立場上仕方無いとは思いはしたが、自分が言った言葉を全くどういった意図で言っているのかを考えずに表情や態度を緩める様子の一切ないアッシュの様子に、どうしたものかとピオニーは考えたのだ・・・愛想笑いの一つもろくに浮かべず取っつきにくいこのアッシュが、心意気はともかくも王としてうまくやっていけるのかと感じたために。
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「はい、手紙は送らせていただきます・・・何から何まで心配してくださって本当に申し訳ありません」
「だから気にするなと言ったろう・・・さぁ、名残惜しいが出発したいというのにあまり長引くような事をするのも良くないだろう。せめて屋敷の外まで見送ろう」
「ありがとうございます、陛下」
それでピオニーが手紙の事を口にした後に出発した方がいいだろうと言い、ルークは頭を下げる。手厚い心にせめて礼を言うように。
・・・それで屋敷の入口の前で使用人やメイドに兵達、そしてピオニーな並ぶ姿を前にしたルークは感謝の意を頭を下げて告げた上で屋敷を後にしていった。立つ鳥後を濁さずというよう、涙の溢れる顔を見せないようにする形で。
(行った、か・・・本当に惜しいな。あいつならアッシュより余程いい王になれると思うんだがな・・・確かに王族としては甘さが残る面は否定はしないが、少なくともアッシュよりは人間的に魅力はある・・・あの人間臭い魅力がな)
それでピオニーはルークの見えなくなったその先を見ながら、ルークに対する想いを心の中で漏らす。次期の王にしたかったと、その魅力についてを感じる形で。
(現にこの屋敷の奴らが全員ルークについての印象が良かったのがいい証拠だ・・・勿論王族や貴族相手に馬鹿正直に相手が気に入らんだとか言うような奴はそうそういないが、そういった気を使ってだとか体面で取り繕っていったような物はなかった)
そしてその魅力が屋敷の人間にも伝わっていたと、ピオニーはあらかじめ聞いていた反応から再び思い返す・・・王族として生まれ育って王となって過ごした濃密な時間から、本心から言葉を口にしているかどうかの見極めの力くらいはピオニーには付いていた。その為に世辞や本音隠しの言葉の抜きにルークの事を誉めていたことも分かる為に。
(それに比べてやはりアッシュの方はどうにもな・・・ルークには今のところはまだ大きな問題になってないとは言ったが、寛容性が無いのはどうしても目立つようになってきた・・・貴族として厳粛に努めているという様子になっていると言えばそれまでとも捉えることも出来るが、あまりにも他者に対して気を許さなすぎだ・・・双子としてその性質が似ないようにと真逆になったのか、それともアッシュが意識してあぁなったのかは知らんがな・・・)
それで対比する形でアッシュについてを思い返すピオニーは、その態度の激しさについてを。
・・・貴族や王族としての自覚があることを悪いと言うつもりはピオニーにはない。自分はそうであると強く自覚し、そうあろうと動いていないということもあって尚更にだ。
だがアッシュはそうあろうとしているのだろうか、それともただ単にルークの見せていたような笑顔が気に入らなかったからか・・・アッシュは人前に出る時は笑顔など浮かべることなく、厳めしい表情ばかりを浮かべていた。
その姿を見てきたピオニーは一度軽く少しは肩と顔の力を抜いたらどうだとアッシュに言ってみたことがあったが、そんなこと出来るはずがないと立場の違いを出されて返された。
その事に立場上仕方無いとは思いはしたが、自分が言った言葉を全くどういった意図で言っているのかを考えずに表情や態度を緩める様子の一切ないアッシュの様子に、どうしたものかとピオニーは考えたのだ・・・愛想笑いの一つもろくに浮かべず取っつきにくいこのアッシュが、心意気はともかくも王としてうまくやっていけるのかと感じたために。
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