if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 前編

「話を変えるが、ここを出てどこに行くつもりでいる?」
「・・・しばらくはギルドなどを経由して、世界を見て回ろうかと思っています。以前陛下には行き先の候補をどうにかするといったようなお言葉をいただきましたが、まず自分の足と目で世界を見ていってどうするかを決めたいと思います」
そんな話題と空気を変えようとピオニーがどうするのかと問うと、ルークはまっすぐにピオニーを見据え決意を口にする。どうするかは決まっていると揺るがない様子で。
「そうか・・・そう決めているなら反対はせんが、もしも行き先に困った場合はウッドロウの所に行くようにしろ。お前も前に会った筈だ」
「ウッドロウですか?確かに前に会ったことはありますが、四年以上前に会った俺の事を受け入れるなんて言ったんですか?」
ピオニーはその意志を受け入れると言いつつ困ったならウッドロウの元へと言い、ルークはウッドロウの事を思い返しつつ疑問視するような声を向ける・・・四年以上前にライマに来て会ったルークの記憶の中にあるウッドロウなら受け入れてくれそうではあると感じつつも、向こうが自分の事を覚えていてくれているとは思ってなかったというよう。
「その心配は無用で向こうはちゃんと覚えているそうだ。それにこの四年の間に一度こちらに来たから直接会って話すことが出来たが、あいつはもしもの時はルークを受け入れることに納得はしてくれた。他にも目ぼしい所はあるが、それはこの紙に書いてあるしウッドロウより確実性がない。確実性で選ぶならウッドロウを頼ればいい」
「俺の為にそこまでしてくれるって大丈夫なんですか?ウッドロウは色々と・・・」
「その色々とを飲み込んだ上でルークを迎え入れる気でいるとのことだ。まぁ俺もウッドロウならやってくれるかという期待があって話をしてみたんだが、真摯にもしもの時が来ればルークを受け入れると答えてくれた。とは言ってもアッシュやライマの面々に知られれば面倒になるから、その辺りは流石に堂々と公にと言うわけにはいかんようだがな」
「・・・それは確かに仕方無い、ですね・・・俺を受け入れてくれるって言ってくれているのに、それで迷惑はかけたくはないですし・・・」
その点は大丈夫と受け入れの気持ちがあることを伝えるピオニーだが、あくまで内密にという状態を求められる事も口にするとルークも重く納得する。自分の立場を考えれば様々なデメリットが生じる可能性が高いのに受け入れてくれるだけでも有り難いことだが、それを公表すればウッドロウ達に迷惑がかかると理解したからこそ。
「そういうわけだからもしもの時は内密にウッドロウの所を優先して頼ればまず間違いないだろう。後はお前が無事に世界を回れるかどうかだが・・・」
「心配しないでください、と言っても心配になるかもしれないですけど・・・一応剣の腕については下手な剣士が束になってかかってこられてもルーク様なら大丈夫だろうというお墨付きをもらったので・・・」
「あぁ、それは確かに聞いたが・・・それくらいのレベルだとアッシュが知れば嫉妬に怒り狂うのだろうが、こういうところで違いが出るのは環境のせいなのか、それとも双子でも違う部分は出てくるものなのか・・・?」
「あはは・・・(流石に言えないよな・・・俺に前世の経験があるから、その分俺の腕に上積みされてるなんて・・・)」
それでもしもの場合についてを話した上で話がルークの剣の腕に話題が移るが、ピオニーが不思議そうに首を傾げる様子にルークは曖昧に笑うに留める。本当の事など言えないからこそ、黙るしかないとルークは思ったが為に。









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