if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 前編

・・・ピオニーとルーク。共にアッシュの事で思い悩み、汚名や不名誉な事を被ると決めた二人。

ピオニーはそれでも事態をどうにかしようと動いていき、ルークは滅多な事では外に出ない方がいいという考えから屋敷内でジャンルを問わない勉学及び剣の鍛練にと勤しんでいった。どこに出ても生きていけるようにとサバイバルや料理などの技術も身に付ける形でだ。










・・・そういったように二人は過ごしていって、四年近くが経ち・・・ピオニーはルークのいる屋敷を訪れた。









「・・・そうか。とうとうここを出ることにしたのか・・・」
「はい・・・本当なら二年前にはもう出るべきじゃないのかとは思ったんですが、流石にまだ早いと言われて・・・ですがこうしてある程度体も成長した以上、そろそろいいかと思い決断しました」
「そうか・・・いよいよになるのか・・・」
・・・四年前と同じように対面上に座り話をする二人だが、歳を取ってないように見えるピオニーに対してルークはまだ幼さは残るものの体格は十の頃より断然に成長している。
そんな二人が話をするのだが、ルークの決意の固さにピオニーが何とも複雑そうに漏らす。
「ちなみに今のライマはどうなっているんですか?四年が経ってどうなったのかあまり聞けなかったのですが・・・」
「別にそこまで変わったことはない。いや、変わることを嫌った奴らが多かったと言うべきか・・・アッシュの機嫌を伺うという意味で下手にルークの話題を誰も出そうとはせず、表向きは本当に大した変化はない。あくまで表向きだが・・・な」
「表向き、ですか・・・」
ルークはそこからライマの現在についてを問うと、表向き変わってないと強調するピオニーに嫌な予感を感じて言葉を漏らす。
「・・・一応は表向きはアッシュは大人しくはしている。だが師であるヴァンから話を聞けば、今も尚ルークに対する罵声に怒りを向けているそうだ。ヴァンには決してそういった感情を表に見せないように教育するようには言い含めてはあるが、それもいつまで持つか分からんというのが実情だと言っていた・・・ルークに対しての態度もそうだが、その激しさがいずれ他に向けられない保証が出来ないとな」
「・・・やっぱりそうなりますか・・・」
その理由はやはりというべきか、アッシュ・・・ピオニーがいかな状況になっているのかとヴァンの報告を口にすると、脱力するようにルークは肩を落とす。まだ完全ではないとは言え、危惧通りになりえるようなアッシュの様子に。
「・・・一応アッシュも王族のはしくれであり、次期王位継承権の保持者だ。それにヴァンも馬鹿ではないし、ナタリアにジェイドも然程遠くない位置にいるから自重もそうだが周りもどうにかしようとするだろう。それに一応は俺もいる・・・そうそうは大事にする気はないし、お前にこれ以上手間をかけさせるつもりもない」
「・・・そう言ってくれるのはありがたいんですが・・・」
「いい、それ以上は言うな。お前に非がないのは俺はよく知っている。ただアッシュのあの敵意は普通に見たところで、ルークへの逆恨みだとか一方的な敵対心でしかない・・・そんなものに本来なら兄の為に国の為にと働いてくれたであろうお前を無理に晒したくはないし、もう下手に戻ればそれこそ前以上の惨事になりかねん・・・俺達にも苦労はあるし、お前にもライマを出るという苦労がある。お互い様と言うには同等とは思えんかもしれんが、この話はこれで終わりにしようルーク」
「・・・はい、分かりました」
だがそれからの苦労を味あわせるつもりはないとピオニーが強く揺るがずに言葉を口にしていくその姿に、やはりと続けようとした言葉を止めルークは頷き返すに留めた。もうこの問題に関しては決まったことだしピオニーは意思を覆す気はないとルークは理解した為に。









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