if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 前編

「・・・少し話し込みすぎたから今度は俺から聞くが、ナタリアの状態についてはさっき聞きはした。その上でだが、ナタリアは俺に対して何らかの接触をしてくると思うか?不平不満を言うこともそうだが、自分がアッシュとルークの事をどうにかするといったような決意めいた事を」
「まず考えられませんね。ルークの配置換えに関しては嘆いていて先程のようなことを言いましたが、彼女は直接貴方に何かを言うつもりも無いでしょうしそのような決意など持った行動は取れないでしょう。それどころか確かにルークと交流出来なくなる事に悲しみこそしても、これでいいのではと心のどこかで考え感じている節もあると思いますよ・・・自分では解決出来ないこと、見たくないものを自分がどうにかするのではなくピオニー陛下がどうにかしてくれたと」
「・・・いつもは強気で大人相手にも引くことのないナタリアだが、あの二人に関しては全くそういったことがない様子を考えればそうもなるか・・・」
ピオニーはそんなヴァンから話題をナタリアへと移すためにジェイドにどうかと問うと、正確にその心情を読みきっているといったその中身に脱力しているかのようになりながら納得する。
「・・・先程は彼女が落ち着くまでは様子を見ろとおっしゃりましたが・・・改めて、陛下から何らかの言葉を送られるつもりはないのですか?彼女は気丈ではあるとは言え、まだ11という年齢・・・一応の配慮はされても問題はないかと思われますが」
「・・・そうしてやりたいのは山々ではあるが、俺の目的やここでの事を正直に明かした所で何も言えんジレンマで苦しむのはナタリアだけだ。無闇に何か励ます程度の言葉を言ったところですぐに気持ちが上がるとも思えんしな」
「ならやはり彼女にはしばらく落ち込んでもらうしかないと言うことですか」
「と言うよりはお前からさりげなく言ってやってくれ。ピオニー陛下の事だからルークは心配いらない・・・むしろ気にして引きずる方が周りに影響を及ぼすからルークの事を気にしない方がいいとな」
「・・・私に言ってもらうとはいえ、自分の事をそのように言うのですか?」
「別に気にしない。どうせお前しか聞いていない事だし、ナタリアが納得すればそれでいい。それに俺から保証するなどと直接でも間接でも言ったら何をいけしゃあしゃあと、みたいにナタリアの立場なら思うだろうからな」
「まぁそうですね・・・それなら仕方ありませんから、私からさりげなく誘導しますが・・・彼女はルークの事は吹っ切れると思いますか?」
ジェイドはそうなるくらいなら対応すればいいのではといったように言うが、自分が直接動くつもりはないと揺るがす返す様子にナタリアは大丈夫だと言えるようになるかと静かに、それでいてピオニーを試すように覗きこむように問い掛ける。
「・・・吹っ切れなければ吹っ切るまで待つだけだ。ただ吹っ切ることが出来ずにそれで潰れるなら、俺が原因ではあるとは言えもうナタリアはそれまでだ。そしてアッシュの結婚相手として以外の価値は無くなる。王女に女王として望まれる価値はな」
「・・・貴族や王族間での権力争いに血生臭い事は付き物で、ルークの事はむしろまだ穏やかに済ませられている部類。それすら乗り越えられないようであれば、例え子どもであったとしても王族としては未熟だと断ずる・・・と言うことですか」
「そういうことだ(ルークは覚悟を決めた・・・アッシュがそれを全く考えていないこともそうだが、ナタリアだけが何も覚悟をせずいられることなど許せるはずもない・・・俺の個人的な気持ちが大きいのは否定出来んがな)」
ピオニーはその問いにまっすぐ返した・・・内心でルークにアッシュとナタリアの二人を比較していると自覚しつつも、ナタリアが駄目になるならそこまでだという強い考えを見せる形で。









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