if〜もしもルークの転移したルミナシアのファブレ兄弟の立ち位置が逆だったら 前編

・・・ライマではキムラスカと違い、王族であることに見た目にこういう特徴を持ってこそ王族だという決まりはない。その為に過去の王族の血を引いているという事から遠縁ではあっても、インゴベルトにファブレ夫妻とピオニーはライマの王族という括りに入っていて、インゴベルト亡き後にその座を引き継ぐ順位にある王位継承権を持っていた者がピオニーだったためにピオニーがその座についた。

しかし遠縁というあまり身近に感じない血の繋がりだった為か、はたまた単に気が合わないだけだったからか・・・元々このライマではインゴベルトに公爵の二人と、ピオニーの仲があまり良くない物であったことはルークも良く覚えていた。そしてインゴベルト達の方が血縁として近かったからなのか気性が合っていたからなのか、アッシュもそれに倣うような形でピオニーの事をあまりいい目で見るような事はなかった。

とは言え流石に名指しでピオニーが嫌いだとかハッキリ態度で示すほどアッシュも厚顔で、身分知らずな動きを取ることはなかった。ピオニーがインゴベルトの後を継いだ事もあって、一応はまだ臣下という身分もあってだ。

しかしそんな一応は上と見ているピオニー相手でも、ルークの事に関しては我慢をするようなことは言われた時から少しの間の表面上でしかなかった。この事に関しては最早インゴベルト達というタガが外れて、ピオニーという敬意を持てない相手という気持ちがあるからと言うのがあるとルークも感じていた。有り体に言えば、ピオニーの事をアッシュはなめていると。



「・・・そんな声を出すな、ルーク。お前の方が俺より余程辛い立ち位置にいることは俺も知っているつもりだ」
「ですが、俺が言い出したこととは言っても王位継承権までもの放棄に俺の配置替えの事は・・・」
「それについてはお前から言い出さなくても、遅かれ早かれ問題になっていたはずだ。特に王位継承権については最近問題になってきている・・・アッシュのルークに対しての特定の相手に対する態度に、俺とルークの距離が近いこと。他にも色々とあるが、そういった点から今のアッシュを擁立しようとする者にルークの王位継承権を上に押し上げよう・・・と言った二つの勢力が影で分かれて出始めているらしいんだ」
「えっ・・・そんなことが・・・!?」
ピオニーはそんなルークを励まそうとするのだが、謝罪をしようと遮って続けた言葉の中身にルークは驚愕の様子を浮かべる。そんな事が起きているのかと、知らなかったと言うように。
「お前からすれば想像だにしていなかったことかもしれんが、アッシュの態度はそれだけ問題になってきているということだ・・・ルークの性格に能力に考え方、そう言ったあらゆる点についてをアッシュより上と見る貴族が多い。だがそうした点が上なら下克上を果たさせるのが正しいと考える者ばかりではない・・・兄が高い地位にいる事が正しいと思う者もいるし、アッシュのあの苛烈さこそがルークよりいいと見る者もいる。そういった考えの対立が貴族の間で出始めているんだ」
「そんな、事が・・・」
その疑問に今アッシュを取り巻く人々の目がどのようなものかをピオニーは語っていき、ルークは唖然としたような面持ちになる。そこまでのことだったのかと。









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