焔と預言の世界の行く末

「少しいいかしら、ルーク?」
「ん?どうしたんだ、ジュディス?」
「明日に手合わせをするとは言ったけれど・・・夜の手合わせは今からお願い出来るかしら?」
「・・・お願いっつってるけど、断ること許さないって感じにもう隣に腰掛けてるじゃん」
・・・それで場は変わってルークにあてがわれた部屋に来たジュディスが意味深でいて妖艶な微笑を浮かべてルークの腰掛けるベッドの隣に座るのだが、当人は至って平然とどころか半ば呆れたように返す。
「フフ・・・少し寂しいわね、こうして平気な様子で返されると。前の初々しかった頃の貴方が懐かしいわ」
「慣れるって言い方も変だけど、それなりに経験もしてきたからな・・・それにちょっと考え事をしてただけだよ」
「・・・考え事と言うと、さっきのライマの皆の事についてかしら?」
ジュディスはその態度に寂しいと言いつつ笑みを崩さなかったが、ルークの考え事との返しに微笑を消して真剣な眼差しを向ける。
「それも間違っちゃいないけど・・・もうあれから3年経ったんだなって実感してた所なんだ。俺がこっちに戻ってきてからさ」
「そうね・・・オールドラントも同じくらいに時間は経っているとは思うけれど、やはり向こうのことは気になるかしら?」
「気にならないって言ったら嘘になるけど・・・多分向こうは所属が色々違ったり状況も違うから絶対って訳じゃないけど、そこまで大袈裟に変わってるなんて事はないと思う。特にアッシュの事に関しては・・・ライマのアッシュがそのまんまオールドラントのアッシュになっても、違和感が全くないんじゃないかってくらい変わってなさそうな気がするんだ」
「と言うと・・・貴方の事を今でも敵視しているということかしら?」
「あぁ・・・予想くらいしか出来ないけれど、それでもこの予想に関しては間違ってないと思う。こっちのアッシュがまださっきの話にあったような状態だって聞いた時は流石に嫌な気持ちにはなったけれど、それは俺がダイクロフトの中に今もいるって思ってるだろう向こうのアッシュもそう変わってないと思うんだ・・・悲しく思うけどさ」
「そうでしょうね・・・そして最早貴方の事を殺してもそうでなくても、どちらでも大して変わった結果にはならないのは世界が違う二人のアッシュの様子を考えれば明らかだと思うわ」
「・・・もうその事については俺も諦めてる。けどさっきの話からちょっと思い出してしまったから、色々考えてたんだよな」
「そういうことだったの」
そこから思い出に浸るように主にアッシュの事についてを話していく苦笑気味のルークの表情に、ジュディスも納得したように頷いた後に真剣な表情に変わる。
「・・・ねぇ、ルーク。貴方は前にと言うか、ティア達と仲が良かった頃に戻りたいかしら?」
「何だよ、いきなり?」
「お願い、答えてくれない?」
「・・・そういった考えに全くならなかったかって言ったら、嘘にはなる。でも今戻れるって言われてそうするかって聞かれても、俺はそれを選ぶつもりはないよ・・・ジュディス達もそうだけれど、他の皆も俺に対して色々気遣ってくれたりしてる。初めは申し訳ないとかって気持ちがあったしこれでいいのかって思ったけれど、そこまでしてくれる皆の事を考えると昔のことと天秤にかけるつもりはないさ」
「・・・そう。そう言ってくれるのね」
そして真剣な問い掛けを向ける様子にルークも真剣でいて柔らかい微笑を浮かべながら返す様子に、ジュディスもまた微笑を浮かべる。もうルークが揺るぐ様子を見せない様子に。









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