また、ティアの事を口にしたゼロスだがそれはこちらのティアではなくオールドラントのティアの事である。

その姿勢から散々色々な人物からルークに対する気持ちに関してを言われてきたティアだが、ゼロスも大体似たような気持ちを抱いていた。あまりにもルークに関連することに心が狭いこともそうだが、本当に心からルークを好きなのかと。そしてそこに加えて言うなら、他の男性のアドリビトムメンバーにはない特徴である女性慣れをしているゼロスだからこそ思ったこともある・・・それはティアが生きてきた年齢に似合わないようなお子様思考の恋愛脳であり、悪い意味で純粋であったということである。



・・・純粋であること、それ自体は別に悪いことではない。ただ純粋というものはいいことばかりではないというか、度が過ぎれば純粋というような見方をされなくなるものである。

なら何が悪いのかと言えば、話を聞いた限りのゼロスが感じただけだがルークに対して送る視線の中に好きだという異性に対して向けるような物が無いように聞き受けられたこともそうだが、何より性的な行為を求めるようなアクションが無かったことだ。

男女の関係性において性的な行為というものは絶対的にしなければならない行為と決められている訳ではないが、基本的に相手に惹かれるならばこそそういった行為も視野に入れる事は普通と言える。頭の中で理屈付けてこの人はいい人で性的な行為無しで付き合える魅力ある人物・・・と言ったように相手方に性的な物を求めないまま付き合うことは全く有り得ない話という訳ではないし、実際に成功している者もいてもおかしくはない。

だが普通の色恋沙汰と言うものは理屈や頭で考えてするものではなく、見た目でも雰囲気でも相手方に魅力を感じてから行う物で、少なくとも頭で考えて行うものではない。どちらかと言うなら本能で感じる物だ。

そこから互いの行動を擦り合わせていき本当に合うか合わないかを感じた上で考えていき、くっ付くかどうかが普通の色恋沙汰であって、その合うか合わないかの中には性的な魅力に行為というものも含まれる。これに関しては本能に関係無い理屈だけでの恋愛をしているのならともかく、本能で好きだと感じたならばこそ少なからずはそれらを意識すべきであった。



・・・しかしティアがそういった部分を全く見せた素振りが無かったことは聞いている。その上でこちらのティアと接した時の経験から、ゼロスの中では恋愛に対して潔癖であって年相応の知識に思考を持っていない女だという結論が出た。

実際に鉄面皮を装いながらもすぐにその表情が崩れ落ちたこちらのティアの姿をゼロスは見ている・・・その時は端から見ていて何も知らなければ可愛らしい姿と見える物ではあったが、ゼロスは冷たくあしらう事が異性からの本気か冗談かはともかくとしてアプローチを断る唯一の手段であろうとも見ていた。興味がなかったり鬱陶しいと思った事も含めて、一蹴するための手段として。

そしてそんな彼女だから見たくないものに、触れたくないもの・・・それでオールドラントのティアに限って言えば周りの環境から知ることが出来ず、こういうものだと決め付けた物に関してはこう接するべきだと強く認識してきたのだと見た。誰かがそれを間違いであったり、認識のすり合わせを行うような機会が無かったからだと。









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