焔と預言の世界の行く末

(と言ってもそれをルークに伝える必要はないわね。もうこっちのティア達に会うような事もないでしょうし、それを伝えるとまたルークが落ち込むことになるでしょうしね)
しかしそれをジュディスは一々訂正する気はないと考える。ルークを気落ちさせる意味はないからと。
「ま、取りあえずは俺達にその責が及ぶことも無いだろうしライマに近付いてもアッシュ達が接触してくるような事もないでしょ。だからライマの事は気にしない形でゆっくりしといていいと思うよ。あまりそういう気持ちには簡単にはなれないだろうけどさ」
「まぁそれは否定出来ないけど、そうするしかないか・・・」
そうジュディスが考えている内にゼロスがまとめの言葉を口にし、ルークも頭では理解していると何とも言いがたそうに頷いた。もう自分が関わることが出来ないと分かっていても、やはり気持ちはどうしようもなく抑えきれないといったように。









「ねぇゼロス、少しいいかしら?」
「どうしたの、ジュディス様?」
・・・それで話が終わって食堂から別れたルーク達だが、ゼロスのいる部屋にジュディスは一人入ってきて用向きは何かと気楽にゼロスは問い返す。
「簡単なことを聞きたいのだけれど・・・さっきはあぁ言ったけれど、ティア達がライマから出られる実際の確率もそうだけど今の状態はどうなっているのかの予測はどうかしら?」
「あぁ、その事ね・・・ライマから出られるような可能性は小数点以下くらいしかないんじゃない?それでティアちゃん達がどうなってるかだけど、ピオニー陛下からの温情から死罪はないにしてもアッシュとナタリアちゃんに近くない所への配置換えくらいは間違いなくされてると思うよ。左遷ってことでもそうだけど、何よりもティアちゃん達一同が集まって似たような事になるのを避けるって意味も含めてさ」
「・・・やっぱりそういった事になるのね」
「あれ?ジュディス様もそう思うって思ってたならなんで俺様にその事を聞いたの?」
「確信が無かったからよ。エステルは友達と呼べる間柄ではあるけれど私自身は貴族に王族の事にあまり私は詳しくはないし、どちらかと言えばそういったことに詳しいのは貴方の方だと思ったからね」
「あ~、そういうことね~」
ジュディスはそんなゼロスに淡々と質疑応答を繰り返していくのだが、その中身に関して二人ともにティア達に対する同情のような感情といった物は一切なかった。



・・・一応アッシュ達の知り合いであって気心の知れた仲間であったジュディス達が相手でも、馬鹿正直に自分達の配下がやったことに対する処置を全て話すというのは上の立場の人間がすることではない。それが苛烈な処置であった場合は尚更だ。

ジュディスもその辺りについては分かっているというか、対外的な処置としては妥当だと考えている。死刑なら死刑でも有り余る程の罪と見られるような事をすれば当然の物と見られて喧伝しても問題と見られることは少ないが、アッシュ達の件に関してはそこまで言い触らすような問題ではないというか大事にすればするほど問題が出てくる。それこそエステルやウッドロウを不快にさせるという国際問題に発展しかねないことをしたと見られる問題へとだ。

そんな問題についてをまた起こすかもしれないのに、口頭での注意だけで次はないと脅すだけで済ませるというのはあまり良くないと判断してもおかしくない・・・故にゼロスが言ったが、そんな風にさせないためにも更に安全策を取るためにアッシュとナタリア以外を引き剥がす形を取るのは妥当と言えた。

何せアッシュに同調する形だったとはいえ、ティア達もルークの事で多大に気分を害させてしまったのだ。これで更に謝る為と言いつつまとまってアドリビトムなりに来て謝罪しつつ、また何だかんだで同じような事を同意を求めるよう軽い世間話のような気持ちでルークについてを言ってきたならそれこそまた面倒な話になる・・・そういった事態を避けるには一人一人を引き剥がした方が効率がいいと、まとまって行動を取る癖のあるティア達を牽制するにはちょうどいいと言えた。一人二人で行動をする様子のないティア達をどうにかするには。









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