認知し、認知出来ないが故の距離

「・・・あーそろそろ戻ろうぜ。いい加減すず達も待ちくたびれてるだろうしな」
「そうね・・・じゃあ最後に1つだけ言わせてもらえるかしら?」
「ん?なんだジュディス?」
「・・・もう貴方を一人にはさせないから」
「っ・・・いきなり何言ってんだよ・・・!」
そこまで言ってこれ以上はと戻ることを提案すると、ジュディスがふと真剣に・・・それでいて泣きそうな表情で切に気持ちを告げる姿にルークはドキッとした。いきなりそんな感情のこもった姿を見せられると思わなかった為に。
「・・・ほら、早く戻ろうぜ」
「えぇ・・・」
(一体なんなんだろうな、ジュディスのこの感じは・・・)
ルークはその姿に視線を背け了承するジュディスの声を背に歩き出す。いきなりのらしくない行動に考えを巡らせながら・・・


















・・・一方同時刻、セントビナーにいたティア達もカイツールへと向かおうと宿を発っていた。神託の盾もようやくセントビナーの包囲を止め離れていったために。しかしここで一行の間であることが起こっていた。それは何か、と言うと・・・



「・・・っ!」
「・・・ティア、やけにピリピリしてますけどまだ昨日の事を引きずってるのかな~・・・」
「そうだと思いますが・・・」
「すまない、イオン・・・俺が変に話をしなければ・・・」
「いえ、貴方だけのせいではありませんよガイ・・・というよりはこの問題に関しては誰の責任でもないと思います・・・強いて言うなら一人で怒って周りにまで影響を及ぼしているティア自身だと思うのですが・・・」
・・・セントビナーを出て少し経つが、明らかにピリピリピリピリと怒りを隠しもせずズンズンと前を歩くティアの後ろに一行がつく形で歩いていく。
そんな中でアニスとイオンのヒソヒソ話にセントビナーで合流したガイも加わるが、ガイの事は擁護するがティアの事は流石に擁護出来ないと苦々しくイオンは漏らす。



・・・さて、昨日のセントビナーでティアに何が起きたのかと言えば簡単に言えば言われたくないことを言われたからだ。

ティアは一人で一行の中から抜けて気持ちを落ち着かせていた訳だが、ようやく気持ちが落ち着いた所でイオン達の元に戻ろうとした時街の中に入ってきたガイに出会った。

その再会にティアは内心小躍りするほどに喜んだがそんなことはおくびにも出さず、ガイと会話を交わしルークは先に行ったと告げた後に一緒にバチカルに戻ろうと同行を取り付けた。

思わぬ形でのガイとの再会に気分をよくしたティアだったが、それはイオン達の元に戻った時に一気に急降下する事になった。そして今に至るまで全く気分を持ち直すことなく来たというわけである。









「・・・というわけで俺もバチカルに行くまで同行させてもらうよ」
「・・・そいつはいいんだが、ちょっといいか?」
「ん?なんだ?」
・・・それで時と場は戻り、ティアとガイがイオン達のいる駐屯地に戻った時になる。
ガイの笑顔からの言葉にユーリが真剣な声をかけると、ガイは首を傾げる。
「俺としてはあのお坊ちゃんがなんでマルクトに来たのかってのを聞きたいんだが、答えてもらっていいかい?」
「え?・・・まぁそれは「答えないでいいわガイ!この人達には関係無いことよ!」おわっ!?」
そこでユーリがルーク達がここにいる事についての問いを向けるとガイは答えようとしたが、厳めしい顔の怒鳴り声でティアが口を出した事に驚きたまらず言葉を止めた。そのあまりの剣幕に。










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