焔と預言の世界の行く末

「と言ってもその理由は至って単純・・・ピオニー陛下がその行動からアッシュ達に対して厳粛に対処するようなことをジュディス様は言ったけど、それに懲りずにいつまでも同じようなことが続けばいくらアッシュがライマの次期王様だと言ったって、ライマ内で心象が下がるのは避けられないってことよ。流石にピオニー陛下が真剣に言ってることもそうだけど、他国の客を不快にさせた態度の改善が見られないならね」
「それは・・・でも立場が悪くなるって言うのは、どういうことなんだよ?今のライマだと俺がいないからアッシュ以外に次期王になれる人物なんていないんだぞ?」
「・・・こういうやり方についてあんまり聞いてて気持ちよくないだろうけど、そういったことが続けばアッシュが王位につける時間を短くなるかもしくはナタリアちゃんと早く子どもを作ってもらい、アッシュをすっ飛ばしてその子どもを王位につける・・・なんて展開になることも最悪有り得ない訳じゃないってことよ」
「なっ・・・!?」
ゼロスはそう言った理由についてを説明していくのだが、その結果としてどのような事になるか・・・それを聞いたルークは絶句してしまった。最悪アッシュが王位につけないまま終わると言う事になりかねないと聞いて。
「勿論それはあくまで最悪の結果の時だから、絶対にそうなるとは限らない。けど今の状態が続くんならピオニー陛下にその臣下達は、アッシュにすんなりと王位を継がせろとなったら嫌な顔をすることはまず間違いないよ?前歴が前歴だし、それを押し出したら今度こそ折角友好的な関係だったガルバンゾを始めとした国々との国交断絶と言うだけならまだギリギリ良しとしても、本格的な戦争となったなら・・・取り返しはつかないからね」
「だから・・・アッシュに王位を継がせる時間が遅くなる、と?」
「少なくとも言動の矯正を日常生活レベルでも安定して出来なきゃ安心してピオニー陛下もアッシュに王位を継がせたいとは思わないでしょ。ただそれでアッシュの事についてだけじゃなく、平行してナタリアちゃんとの結婚を済ませた上で子どもを早く作るようにとせっつかせはするだろうね。もし駄目だった場合、最悪の場合に備える形でってことでさ」
「・・・それこそアッシュがどうにもならなかった場合ってことなんだろうけど、そんなことにナタリアが納得するのか・・・?」
「納得するっていうか、せざるを得ない状況にしかならないと思うよ。ナタリアちゃんはアッシュの現状があっても好きだって考えを捨てる事は出来ないって事もあるだろうけど、それよりも重要なのは王族の血を絶やさないようにすることだ。この辺りはナタリアちゃんも重々承知はしているだろうから、子どもを作ること自体はまだ受け入れはするだろうが・・・まぁナタリアちゃんの性格を考えるとアッシュの王位関連の話題は言わない方向で済ませるだろうとは思うけどね。もし言ってしまったら腹芸が得意じゃないナタリアちゃんじゃ何かしらボロが出るだろうし、ナタリアちゃん関係に関してはやたらと清潔性を求めるアッシュの事だからそういう陰謀とかとは縁を切ってからじゃなきゃ行為を致さない・・・なんて風に考えるだろうしさ」
「あ~、それは多分間違ってないだろうな~・・・ナタリアの事を好きじゃあってもそういった行為は神聖な儀式だとかって思ったりしてそうだし、余計な横槍が入ってるって分かっててするのは嫌がるだろうしな・・・」
ただそれは最悪の場合と言いつつも話を進めていくゼロスにルークは応答を重ねていくのだが、その横でジュディスが一瞬ではあるが目を細めていた事に気付けなかった。何かを楽しみにしているようでいて、イタズラめいたことを考えていたような目をしていたことに。








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