焔と預言の世界の行く末

「・・・話を続けるけれど、ウッドロウ達もアッシュの退出の後からすぐに部屋を出て私達の所に来て話をした後に各自の部屋に戻って一晩を過ごしたわ。そして数日滞在する予定ではあったけれど、エステルが我慢が出来るかが怪しかったから朝には帰ることにして、ピオニー陛下の元に向かったわ。ただそこで昨夜の事について聞かれたけれどね」
「あぁまぁ、ジェイドの性格から昨日の事を陛下に報告しなきゃならないって思っただろうから聞いたんだろうね」
「実際その通りだったわ・・・それでなんだけれど、ピオニー陛下から頭を下げられたわ。アッシュがしたこととはいえ、こちらの監督不行き届きでそちらに不快な思いをさせてしまったと」
「あ~・・・絶対自分からアッシュが謝る筈がないから、代わりに陛下が頭を下げたって所か」
「私もそう思ったのだけれど、この際だからと陛下に質問したわ。この三年でアッシュはルークの事を忘れるというか、振り切れなかったのかと・・・その答えは否、だとのことよ」
「えぇ・・・俺が逃げたことがそんなに引きずるほど嫌だったってのかよ・・・」
ジュディスは話をまた続けていってゼロスが応対していくのだが、アッシュの様子を示す答えにルークは頭を上げて悲し気な表情になる。そこまで未だに嫌われる上に言われるのかと。
「この場限りの話で・・・と言ったように言われた後の事だけれど、アッシュは貴方が何も言わずに消えた後はそれこそ苛立ちを浮かべない日がしばらくないほどに荒れていたようよ。ただそれでも時が経つにつれて貴方の代わりにと王位継承権を受け継いだ上で、ライマの王にならなければならないといった流れになっていく内に見た目としては落ち着いては来たらしいけれど・・・その代わりにライマの貴族の間では暗黙の了解のような形で貴方に対する暴言を見過ごす習慣がついたそうなの」
「ちょっと待ってジュディス様!・・・なんでそんな事になんのよ?もうルーク君がいなくなってるっていうのに・・・」
ジュディスはピオニーからライマの中でのアッシュの態度について外に明かしていない部分を明かしていくが、ここでゼロスがたまらず信じられないといったように制止と確認を向ける・・・あまりアドリビトム内では知られてはいないが実は常識を弁えているどころか、王族や貴族の習慣などにも精通しているゼロスから見てもアッシュの行動はいかにおかしいかは分かるために。
「・・・陛下もそんな状況になったことからルークに対する暴言を止めるように言うことも含め、アッシュに何故そう言うのかと聞いたらしいわ。けれどそれで返ってきた答えは以後注意するとは言いはしたものの、ハッキリとした理由は言わないばかりかその後も同じような事をすぐに繰り返すばかり・・・だからもう暗黙の了解として、アッシュの事を止めるのをピオニー陛下も諦めていると言っていたわ」
「うわ、マジかよ・・・」
「ただ大方理由についてはルークに対して怒っているからと言うよりは、もうルークへの罵倒が無意識の口癖に加えてルークを悪役みたいに言うことが免罪符になる・・・みたいに思っているだろう気持ちを陛下は感じたと言っていたわ。自分の過ちは過ちではないし苛立ちの理由は全てルークにあると、逃避しているのではないか・・・とね」
「っ!・・・流石にそんな言葉は聞きたくはなかったけど、陛下はそこまで言ったのかよ・・・」
そこからいかにアッシュが行動を起こしたかについてとピオニーがどう考えているかをジュディスから聞かされ、ゼロスとルークは揃って苦い表情を浮かべるが特にルークには更に辛さが滲んでいた。そこまでしてきてそうまで思われるアッシュの行動に。









.
17/32ページ
スキ