焔と預言の世界の行く末

・・・決して順風満帆ではないルークがいなくなった後のオールドラントの行方・・・だがそれでも前に進み続けてはいる、預言として詠まれた道筋から外れた未来へと・・・



・・・そしてオールドラントからいなくなったルークは・・・


















「・・・ただいま、チャット」
「お疲れ様です、ルークさん!依頼は達成しましたか!?」
「あぁ・・・っていうか、ルークって言っていいのか?」
「大丈夫ですよ!これから今日はもうバンエルティア号は空に浮かせますし、事情を知る人達しかいませんから!・・・ですからその兜を取ってもいいんですよ?」
「あぁ、分かったよ」
・・・バンエルティア号の受付に立っていたチャットの前に現れた白を基調にした服を着て、口元以外ほとんど肌の露出していない兜を被った男にチャットは嬉しそうにルークと話しかける。
その男が苦笑気味な声でどうかと問うが大丈夫との答えと今すぐに兜を取ってほしいといったような期待の声を向けるチャットに、男が兜を取るとそこには青年として成長の見られるルークの笑顔があった。
「他の皆はどうしてるんだ?」
「そろそろ食事の時間ですから食堂の方に集まってきている最中ですよ。ルークさんも片付けをしてきて食堂に来てください。皆さん待っていますから♪」
「あぁ、分かったよ」
そのまま他の面々についてを聞くルークにチャットは楽しそうに答えていき、ルークは部屋の方へと足を運ぶ。



・・・オールドラントから再びルミナシアに戻ったルークは、どうやって生きていくかに自分の姿をどう隠すかを考えざるを得なかった。元々は人のいないところでサバイバルなり畑を耕すなりして生きていこうとしていたが、こうして戻ってきて事情を知っているアドリビトムの面々がそんな生活に入ることを許すはずがないと分かっていた為に。

ただそれと同時にライマの面々に顔が割れるような活動を公にしていたなら、自分だけならともかくアドリビトムの面々に迷惑がかかることになる・・・故にどうするべきかと考えていたルークだが、その解決策が普段は事情を知らない面々がいる時は兜を被り偽名を名乗る形でアドリビトムに在籍するという物であった。

と言ってもこれはルーク本人が考えて出した案ではない。アドリビトムの面々がどうすればルークに失踪されないようにした上で安定した生活を送ってもらうようにするかという物に加え、ライマにルークの情報が行くのを防ぐ意味合いを兼ねているのだ。

特にライマに情報が渡ること・・・キムラスカと違いライマでは王族は赤い髪に翠の瞳でなければならないという見られ方はしないが、それでもルークの外見に関しては髪の色を除けばアッシュと瓜二つという双子特有の似かたをしている。そんな中でライマの関係者であったりアッシュに会って間もない人物がルークの事を見たなら当然どういうことか・・・となるだろう。

そしてそこからアッシュにでも情報が流れれば、おそらくなどというレベルではなく確実にアドリビトムへと特攻してくるだろう。ティア達も伴い、ルークの事を確認しに来た上で連れ戻すなり殺そうとしてくる形でだ。

そんな事態などルークもそうだし、アドリビトムの面々も望んではいない・・・故にアドリビトムにいると決めると同時に、普段は兜を被り顔を見せないように動くことにルークは決めたのだ。出稼ぎに来るような傭兵の中には顔を見せないような兜をしている者もいるため、そこまで兜をしていても怪しまれないだろうとなった為に。









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