焔と預言の世界の行く末

・・・二人の会話で出てきた通り、もうティアは死んでいる。あのジュディスに瀕死のダメージを負わされた時にそのままろくな治療も出来ず、街や村に辿り着く事も出来ない形でだ。

そしてそのような形で死んだ後、死体は平原の魔物に食われて遺品などは特に見付かることもなくティアが死んだ証拠すらも誰も見付けることはなかった。

その事から一応は行方不明というだけの状態になってはいるが、最早いないものとして扱われ誰もティアの事など気にかける者などいなくなっている・・・現にイオンも今この場での会話から久しぶりにティアの事を思い出すように口にしたくらいなのだ。



「・・・それで、謡将はその事実を知って亡くなられたのですか?」
「いえ・・・処刑の直前に一度会って会話をしましたが、その時はまだ行方不明と認定をする前でしたのでルークを探しに行って行方が分からないとくらいは伝えたのですが・・・その時の彼は複雑というか、何とも言いがたそうな表情を浮かべていました・・・彼はレプリカであるルークを見下していて、そのルークをまるで何かに取り憑かれていたかのようにこだわり求めるティアの様子を聞いて、複雑だったようで・・・」
「まぁ彼の立場であったらそうはなったでしょうが、今でも何故ティアがあそこまでルークもそうですがダイクロフトの方々以外の我々に対して態度を軟化していたのか・・・それは不明ですからね」
「えぇ・・・ただあまり時間を長くかけるわけにはいかないと言われたのもあり、そこで話を終わらせた後にヴァン達一派を処刑しました・・・一応はディストに関してはどんな条件でも呑むから死ぬのだけは嫌だと言いましたので、終始監視つきを始めとした様々な条件をつけたことから彼とアリエッタだけは生きています」
「・・・アリエッタはどうして助かったのですか?」
「一応はワイヨン鏡窟の戦いで引いてくれましたし、彼女に一連の流れから謡将をこうすると彼女に分かるように噛み砕いた説明をしてどうするかと聞いた所、ヴァン達の事は悲しいけどどうしようもないとは認知はしてくれました。ただそれでならどういった立場についてもらうかとなった時に、僕付きの導師守護役には戻れないし出来ないと色々な事を考えて言うと神託の盾にいることは辛くて出来ないと言われたので、彼女にはダアトに二度と近寄らないことと魔物を引き連れてどこかを襲わないなら見逃す・・・と言うことで決着が着き、ヴァン達の処刑が終わったあとにダアトから船で送り出しました。今は何も起こしていないと聞いていますから、恐らくは彼女を育てたライガの元にいるかと思われますが・・・この場、それも貴方が相手だから言うことですのでこれは内密にお願いしますジェイド・・・」
「・・・分かりました。その事に関しては私の中でだけに留めておきます」
そのティアの流れからヴァンについての話をするのだが、その中で出てきた悲しみを滲ませる小さな声でディストの状態とアリエッタについての無念をイオンから聞かされジェイドも小さく頷く。



・・・ヴァン達に関しては情状酌量の余地がない事もあったが、本人達が減刑を望んでいなかったこともありイオンの言葉通りアリエッタにディストを除いて全員が処刑される事となった。それこそディストは全力で命は助けてほしいとどんなことも呑むと言ったことから、アリエッタは実年齢に見会わない幼さがあると見られて二人は助かる形でだ。

ただアリエッタに関してはヴァンに対する忠義があったなら、危うかったと見られていた。しかしアリエッタがヴァンに対して抱いていたのは忠義ではなく恩義であることもあったが、その恩義はイオンにも向けられていた。これがヴァン一人に強く向けられていたならアリエッタの命が助かっていたかどうかは危うかったであろう。

だがもう今となっては終わったことだ。アリエッタの性格からしてヴァンの野望を受け継ごうなどという気持ちに能力はない事など明らかであるし、ディストは能力はあっても最早行動を起こせるような状態ではない・・・まぁイオンにジェイドからすれば各々の相手に対しての気持ちがあるのだが、それを論ずる事はもうない。ヴァン達がいない今となっては、もう二人を危険だと過剰に注視する事は意味がないのだから。









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